2026年、ChromeがHTTPの入口に警告を出します。常時SSL化していても、名刺やチラシのURLがHTTPSに対応していなければ、初めて来た見込み客の1画面目が警告になります。紙を見るだけでできる棚卸しの手順をまとめました。
「うちはもう常時SSLにしてあるから、関係ない」——この記事は、そう思われた方にこそ、いちばん読んでいただきたい内容です。(「常時SSL」=サイト全体を https:// にしてあること。この記事では、この意味で使います。)
2026年、GoogleのブラウザChrome(クローム)が、暗号化されていない通信のページへ進む前に、利用者に確認を求める設定を、はじめから(既定で)オンにします。ここで言う暗号化されていない通信とは、ホームページの住所(URL)の頭が http:// で始まるもののことです。頭が https:// のほう(sが付くほう)が、暗号化されている通信です。
そしてGoogleが名指しで問題にしているのは、昔のままHTTPで動いている古いサイトだけではありません。サイト本体はきちんとHTTPSなのに、入口のURLだけがHTTPで、そこから自動でHTTPSへ飛ばしている——この形も、警告の対象になります。
では、その「入口のURL」は、どこに書いてありますか。名刺です。封筒です。チラシです。看板です。展示会で配ったパンフレットです。QRコードです。
①結論:ホームページを常時SSL化(サイト全体を https:// にすること)していても、名刺やチラシに刷ってあるURLの「入口」がHTTPSに対応していなければ、そこから来た人の1画面目に確認画面(警告)が出ます。ただし——これは「サイトが見られなくなる」ものではありません。クリックすれば先に進めます。そしてこれは、誰のミスでもありません。その名刺やチラシを作った当時、URLを http:// と書くのは、ごく普通のことでした。ブラウザ側のルールが、後から変わったのです。
②今日やる1手:机の上に、自社のURLが刷ってある物を全部集めてください。名刺、封筒、チラシ、会社案内、パンフレット、伝票。パソコンは要りません。紙を見るだけです。集めたら、URLの書き方だけを見ます。見るのは3つ。(1)頭が http:// か https:// か (2)www が付いているか、付いていないか (3)今使っているドメイン(URLの「marcrest.net」のような部分)か、昔のドメインか。この3つを紙に書き出すだけで、今日やることは終わりです。無料です。
③この記事の対象:会社のホームページがあり、そのURLを紙や物(名刺・封筒・チラシ・看板・社用車・展示会パネル・QRコード)に載せている中小企業の経営者の方。とくに、その印刷物を作ってから3年以上経っている方、URLを www の付かない形で刷っている方、昔取った別のドメインを今のサイトへ転送している方は、いちばん当てはまります。
逆に、対象でない方:下の表で「影響はほぼありません」に当てはまる方です。その場合、ここで閉じていただいて構いません。全員に効くふりをして、時間を使わせるほうが失礼だと思っています。
| 御社の状況 | この記事の必要度 |
|---|---|
| サイト全体がHTTPSで、紙に刷ったURLもすべて https://。www の有無どちらでもHTTPSで開く | 実務上の影響はほぼありません。ここで閉じて構いません |
| サイトはHTTPSだが、紙のURLが http://、または www の有無で開けたり開けなかったりする | いちばん対象です。今日、紙を見てください |
| 昔取った別のドメインを、今のサイトへ転送している(旧社名・キャンペーン用など) | 対象です。転送の途中がHTTPだと警告が出ます |
| 社内だけで使う社内システム・社内サイト(住所が 192.168. などで始まるもの) | 今回の変更の対象外です(後述) |
| そもそも紙にURLを載せていない/ホームページがない | 対象外です |
パソコンが得意でなくても大丈夫です。この記事の中心は、紙を見る作業です。パソコンを使う手順は後半にまとめました。
2025年10月28日、GoogleのChromeセキュリティチームが「HTTPS by default」という記事を公開しました。核心はこの一文です。
One year from now, with the release of Chrome 154 in October 2026, we will change the default settings of Chrome to enable “Always Use Secure Connections”. This means Chrome will ask for the user’s permission before the first access to any public site without HTTPS.
日本語訳(筆者による):今から1年後、2026年10月のChrome 154の公開にあわせて、Chromeの既定の設定を変更し、「常に安全な接続を使用する」を有効にします。これにより、Chromeは、HTTPSではない公開サイトへ最初にアクセスする前に、利用者の許可を求めるようになります。
「常に安全な接続を使用する」は、日本語版Chromeにも実際にある設定の名前です(Google公式ヘルプの日本語表記のまま書いています)。この設定がオンだと、ChromeはまずHTTPSでつなぎにいきます。Google公式ヘルプの日本語には、こう書かれています。
[常に安全な接続を使用する] をオンにすると、HTTPS を使用するよう URL がアップグレードされ、HTTPS をサポートしていないサイトにアクセスする前に警告が表示されます。
ここが、この記事でいちばん大事な理屈です。名刺に http:// と書いてあること自体が、直ちに警告になるわけではありません。Chromeは、書かれていたのがHTTPでも、まずHTTPSで開こうとします。そこでHTTPSで開けるなら、警告は出ません。警告が出るのは、その住所(ホスト名)がHTTPSに対応していないときだけです。
ここは正確に書きます。Googleは、この警告について次のように書いています。
In this mode, Chrome attempts every connection over HTTPS, and shows a bypassable warning to the user if HTTPS is unavailable.
日本語訳(筆者による):このモードでは、Chromeはすべての接続をHTTPSで試み、HTTPSが利用できない場合は、利用者に回避可能な警告を表示します。
「回避可能な(bypassable)」——つまり、利用者がクリックして進めば、そのままサイトを見られます。サイトが閉鎖されるわけでも、表示できなくなるわけでもありません。「10月からホームページが見られなくなる」という説明を見かけても、そこまでの話ではありません。
ただし——初めて御社を知った見込み客が、名刺のURLを打ち込んだ1画面目で、この先の接続は安全ではない、という趣旨の確認画面に出会う、という事実は残ります。そこで手が止まる方がいても、おかしくありません。私が問題にしているのは、そこだけです。
同じ記事に、こう書かれています。
We will enable the “Always Use Secure Connections” setting in its public-sites variant by default in October 2026, with the release of Chrome 154. Prior to enabling it by default for all users, in Chrome 147, releasing in April 2026, we will enable Always Use Secure Connections in its public-sites variant for the over 1 billion users who have opted-in to Enhanced Safe Browsing protections in Chrome.
日本語訳(筆者による):2026年10月、Chrome 154の公開にあわせて、「常に安全な接続を使用する」の公開サイト向けの設定を既定で有効にします。全ユーザーに対して既定で有効にする前に、2026年4月公開のChrome 147で、Chromeの「保護強化機能」を自分で有効にしている10億人以上のユーザーに対して、この設定を有効にします。
整理すると、こうです。
| 時期 | Chromeの版 | 誰が対象か |
|---|---|---|
| 2026年4月 (すでに過ぎています) |
Chrome 147 | Chromeの「保護強化機能」を自分でオンにしている人。既定は「標準保護機能」なので、自分で切り替えた人だけです |
| 2026年10月 (Googleの告知の表現) |
Chrome 154 | 全ユーザー(既定でオン) |
つまり、4月からすでに、一部の人の画面では始まっています。「10月に何かが突然起きる」のではなく、対象が広がっていくという話です。
ここは、私が今日調べていていちばん驚いた点なので、正直に共有します。
Chromeは自動で更新され、版の番号が上がっていきます。2026年8月20日時点で配信されているのは Chrome 152 です。そしてGoogleの告知は「2026年10月・Chrome 154」。ところが、Chromeの開発元が公開しているリリース予定表を同じ日に見ると、Chrome 154の配信予定日はこう並んでいました。
| Chromeの版 | 予定表にある配信日(2026年8月20日時点) |
|---|---|
| Chrome 152(配信中) | 2026年8月25日 (8月12日ごろから順次配信中) |
| Chrome 153 | 2026年9月8日 |
| Chrome 154(今回の変更) | 2026年9月22日 (早い環境では9月9日ごろから順次) |
| Chrome 155 | 2026年10月6日 |
Googleが「前倒しします」と告知したわけではありません。理由は予定表を並べれば分かります。Chrome 146から152までは4週間おきの配信でしたが、153以降は2週間おきに並んでいます。その分だけ、154の順番が前に来ているのです。
だから私は、「9月22日に必ず切り替わります」とは申し上げません。予定表は変わることがあります(現に、告知の「2026年10月」と、いまの予定表の日付はずれています)。また、Chromeの新しい版が出た瞬間に、世界中の全員へ一斉に切り替わるわけでもありません。順次配られていきます。
それでも、言えることが一つあります。「10月」を基準に段取りを組むと、間に合わない可能性がある。そして——印刷物は、刷り直すと決めてから手元に届くまでに時間がかかります。デザインの修正、確認、入稿、印刷、納品。名刺だけなら数日でも、会社案内やパンフレットは数週間かかることもあります。紙の棚卸しを今日やる価値が最大なのは、この一点に尽きます。
今回、既定でオンになるのは「公開サイト向け」の設定です。Google公式ヘルプの日本語では、設定の選択肢がこう説明されています。
安全でない公開サイトについて警告する: 会社のイントラネットなど、非公開サイトについては警告を表示しません。
つまり、社内だけで見られる社内サイト(イントラネット)や、社内ネットワークの機器(住所が 192.168. などで始まるもの、社内だけで通じる短い名前)は、今回の対象外です。Googleは、こうした非公開の住所はそもそもHTTPS用の証明書を取ること自体が難しいという事情を挙げて、対象から外しています。
社内の複合機の管理画面や、工場の機械の設定画面が急に使えなくなる——という心配は要りません。ここは安心してください。
ここが本題です。Googleは、今もHTTPが使われている理由として、こう書いています。
For example, many of these sites use HTTP only for navigations that immediately redirect to HTTPS sites—an insecure interaction which was previously completely invisible to users.
日本語訳(筆者による):たとえば、これらのサイトの多くは、すぐにHTTPSのサイトへ転送される入口の部分だけにHTTPを使っています——これは、これまで利用者からは完全に見えなかった、安全でないやりとりです。
「これまで利用者からは完全に見えなかった」。ここが怖いところです。今までは一瞬で自動的にHTTPSへ飛ぶので、誰も気づきませんでした。だから「うちは常時SSLだ」と思っている社長は、何も間違っていません。実際、最後に着く画面はHTTPSなのですから。
Chromeの開発者向け公式ドキュメント(サイト運営者向けの手引き)に、こういう例が載っています。
If you serve your site on https://www.example.com and have a redirect from http://example.com to http://www.example.com, and your server is not configured to support connections on https://example.com, your users will see warnings when navigating to example.com.
日本語訳(筆者による):サイトを https://www.example.com で公開していて、http://example.com から http://www.example.com への転送を設定しており、かつサーバーが https://example.com での接続に対応していない場合、利用者は example.com へアクセスするときに警告を見ることになります。
日本語に直すと、こうです。
名刺やチラシに刷るURLは、短いほうが見栄えがいいので、www を落とすのがむしろ一般的です。私も、短いほうが読みやすいと思います。つまりこれは、丁寧に作られた印刷物ほど起こりやすい形なのです。
同じドキュメントには、こうも書かれています。
To avoid these warnings for your users, you should ensure that all inbound links and redirect chains fully support HTTPS at every step along the way, not just at the final destination page.
日本語訳(筆者による):利用者にこれらの警告を見せないためには、最終的な到達ページだけでなく、外部から入ってくるリンクと転送の連鎖のすべての段階が、HTTPSに完全に対応していることを確認する必要があります。
「外部から入ってくるリンク(inbound links)」。——名刺です。チラシです。看板です。QRコードです。Googleが「最終ページだけ見るな、入口を全部見ろ」と、はっきり書いています。
もう一つ、経営上とても重要な性質があります。同じドキュメントより。
Chrome remembers a user’s decision for 15 days, and the exception is renewed whenever a user revisits that site – this means that if a user regularly uses an HTTP site they may only ever see the warning once for that site.
日本語訳(筆者による):Chromeは利用者の判断を15日間記憶し、その利用者がそのサイトを再訪するたびに例外が更新されます。つまり、あるHTTPサイトを日常的に使っている利用者は、そのサイトについて警告を一度しか見ないかもしれません。
これは何を意味するか。——社長ご自身も、既存のお客様も、いつも見ている社員も、警告をほとんど見ません。一度クリックして進めば、15日ごとに更新されて出なくなるからです。
警告を見るのは、初めて来た人だけです。つまり——いちばん見せたくない相手、これから取引が始まるかもしれない見込み客だけが、それを見ます。そして彼らは、見たことを教えてくれません。これは、社内からは構造的に見えない失注です。
先に、はっきり申し上げておきます。
名刺やチラシのURLが http:// になっているとしても、それは制作会社の手抜きでも、印刷会社の不注意でも、担当された方の失敗でもありません。
その紙を作った当時、URLを http:// と書くのは、まったく普通のことでした。むしろ、そう書くのが正しかった時期のほうが長いのです。後から、ブラウザ側のルールが変わった。それだけです。
そして——いま御社には、名刺を作った会社があり、サイトを預かっている会社があります。それは資産です。相談できる相手がすでにいるということですから、新しくどこかを探す必要はありません。
私は独立する前、製造業の現場に長くいました。生産管理という、モノと情報の流れを合わせる仕事です。あの世界には、こういう鉄則があります。
「図面や手順書が改訂されたら、旧版が現場に残っていないかを必ず確認する」。
新しい版を配って終わり、ではありません。旧版が1枚でも現場に残っていれば、そこから不良が出るからです。だから改訂のたびに、どこに何版が出ているかを数え、回収するか、×を付けて無効にする。
会社のURLも、まったく同じ構造です。ホームページを常時SSL化した時点で「新しい版」に改訂されています。ところが、旧版のURLが刷られた紙は、回収されていません。名刺入れの中にも、取引先の引き出しの中にも、まだ生きています。
違うのは一点だけ。紙は、刷り直しにお金と時間がかかることです。だから、「全部刷り直す」ではなく、「どこに何版が出ているか数える」から始めます。そして——ほとんどの場合、刷り直しは必要ありません。理由は後で書きます。
机の上に、自社のURLが載っている物を集めてください。抜けやすいものを、優先度つきで並べます。
| ☑ | 見る物 | なぜ抜けやすいか |
|---|---|---|
| □ | 名刺(社長・全社員分。古い在庫の箱も) | 社員によって刷った時期が違い、古い版が在庫として残っていることが多い |
| □ | 封筒(長3・角2) | まとめて発注するので在庫が数年分ある。いちばん更新が遅れる |
| □ | 会社案内・パンフレット・製品カタログ | 部数が多く単価が高いので、作り直しの判断に時間が要る。だから早く知る価値がある |
| □ | チラシ・DM・展示会で配った資料 | 相手の手元に残り続ける。数年後に見て連絡してくる人がいる |
| □ | QRコード(名刺の裏・チラシ・のぼり・POP) | 中身が目で見えない。いちばん見落とされる |
| □ | 看板・社屋の表示・社用車のマグネット | 毎日見ているのに誰も読んでいない。作り替えの費用が大きい |
| □ | 展示会のパネル・ブースの背面幕・のぼり | 倉庫にしまわれていて、次の出展の直前まで誰も開けない |
| □ | 見積書・請求書・納品書のひな型のフッター | 毎日出しているのに、URL部分は10年前のままということが起こる |
| □ | メールの署名(全社員分) | 紙ではないが入口として最多。しかも今日すぐ直せる |
| □ | 求人票・求人媒体に登録したURL | 応募を迷っている人が最初に踏む。ここでの1画面目は重い |
| □ | 各種名簿・地域のポータル・業界団体のサイトに登録した自社URL | 登録したのが何年も前。登録先の画面に入れば無料で直せる |
| □ | SNSのプロフィール欄・動画の説明欄 | 同上。今日すぐ直せる側 |
コツを一つ。「紙」と「画面」を分けて2つの山にしてください。画面側(メール署名・SNS・登録サイト)は今日すぐ、無料で直せます。紙側はお金と時間がかかるので、判断が要ります。この2つを混ぜると、手が止まります。
集めた物に書かれているURLを、次の3点だけで仕分けます。
| # | 見るところ | 判定 |
|---|---|---|
| 1 | 頭が http:// か https:// か | http:// と刷ってある=要確認。ただしこれだけでは黒ではありません(後述の手順③で白黒がつきます) |
| 2 | www が付いているか、付いていないか | サイト本体と違うほうが刷ってあるなら要確認。Googleが例に挙げているのは、まさにこの形です |
| 3 | 今のドメインか、昔のドメインか ドメイン=URLの「marcrest.net」のような部分 |
旧社名・旧サービス名・キャンペーン用の別ドメインを転送しているなら要確認。転送の途中の段階もHTTPSでないと警告が出ます |
3番を軽く見ないでください。Googleの手引きには、転送サービスを使っている場合について、はっきりこう書かれています。
If you use domain forwarding services, you may need to reach out to your service provider to ask whether they support HTTPS and if there is any additional configuration required.
日本語訳(筆者による):ドメインの転送サービスを使っている場合は、HTTPSに対応しているか、追加の設定が必要かを、そのサービスの提供元に問い合わせる必要があるかもしれません。
中小企業では、「昔取ったドメインを今のサイトへ飛ばしている」ことが、本当によくあります。そしてその転送は、たいてい何年も前に設定したきり、誰も触っていません。ここは自力では分かりにくいので、後述の依頼文に項目を入れてあります。
ここからパソコンを使います。やることは、URLを打って開くだけです。
お手元の名刺に example.co.jp と書いてあるとしたら、Chromeのアドレス欄に、次の4通りを1つずつ手で打ち込んで開いてみてください。ブックマークやGoogle検索から開くと、正しい形に直されてしまうので意味がありません。必ず手打ちです。
見るのは1点だけ。「①と②が、どちらもちゃんとページとして開くか」です。エラー画面になったり、いつまでも開かなかったりしたら、そこが弱いところです。
参考までに、私は今日、自分の会社のサイトで同じことを確かめました。結果はこうです。
| 打ち込んだURL | 結果(2026年8月20日に確認) |
|---|---|
| https://marcrest.net | そのまま表示 |
| https://www.marcrest.net | HTTPSのまま https://marcrest.net へ転送 |
| https://marcrest.net | https://marcrest.net へ転送 |
| https://www.marcrest.net | https://www.marcrest.net へ転送 |
大事なのは上の2行です。www の有無どちらでも、HTTPSのままページに着く——これが確認したかったことです。この形になっていれば、名刺にどちらのURLが刷ってあっても、警告は出ません。
逆に、②(www あり・sあり)や①(www なし・sあり)でエラーになるなら、そこが今回の弱点です。名刺にそちらの形で刷ってあれば、そこから来た人に警告が出ます。
QRコードは、中身が目で見えません。いちばん確実なのは、作ったときの入稿データや、発注したときのメールに残っている元のURLを見ることです。
それが見つからない場合は、次の手順④を先に済ませてから、ご自分のスマートフォンでそのQRコードを読み取ってみてください。警告が出るなら、それが見込み客の見る画面そのものです。iPhoneのカメラで読み取ると、Chrome以外のブラウザで開くことがあります。その場合はURLをコピーして、Chromeで開き直してください。
これが、いちばん行き違いの起きにくい方法です。そして、Google自身が、サイト運営者に対してこれを勧めています。
We recommend you proactively enable “Always Use Secure Connections” for public sites at chrome://settings/security, and then go about your normal workflows. This can help identify any unexpected usages of HTTP that cause warnings.
日本語訳(筆者による):公開サイト向けの「常に安全な接続を使用する」を、前もって有効にすることをお勧めします。これにより、警告の原因となる予期しないHTTPの使用を見つけられます。
つまり——自分のChromeを、先に「10月の状態」にしてしまう。そのうえで名刺のURLを開けば、見込み客が見る画面を、今日そのまま自分の目で見られます。
手順は、Google公式ヘルプに書かれているとおりです(以下は、ヘルプの日本語表記のまま並べています)。
設定したら、集めた名刺・チラシのURLを、片っ端から手打ちで開いてください。警告が出た紙に、付箋を貼る。それだけで、棚卸しは完了です。
元に戻したくなったら、同じ場所でオフにできます。Googleの手引きにも、「以前に自分でこの設定を選んでいた場合、Chrome 154で既定が変わった後も、その選択が尊重される」という趣旨が書かれています。試してみて煩わしければ、戻して構いません。
※正直にお伝えします。この警告画面に日本語で何と表示されるのか、私はまだ確認できていません。だから「こう出ます」とは書きません。ご自分の画面で、実物をご覧ください。それが、どんな解説記事より確かです。
まず、うれしい話から。ほとんどの場合、印刷物を刷り直す必要はありません。
直すべきは、紙ではなくサーバー側だからです。www なしのほう(あるいは www ありのほう)もHTTPSで応答するように設定すれば、すでに世の中に出回っている紙は、そのまま生き返ります。回収も刷り直しも要りません。
だから今日、紙を数える価値があるのです。「何を直せばいいか」が分かれば、たいていは1回の依頼で片が付きます。
連絡する相手は、いまお付き合いのあるサーバー会社・ホームページの制作会社です。ドメインとサーバーの設定に手を入れる作業なので、いま管理している会社に頼むのが近道です。私はこの作業を代行しません。それが御社にとって、余計なお金と時間をかけない道だからです。
1往復で終わるように、そのまま送れる文にしました。〔 〕の中だけ、ご自身の状況に合わせてください。
お世話になっております。〇〇(会社名)の△△です。
弊社サイトのHTTPS対応の範囲について、確認をお願いできますでしょうか。【背景】
GoogleがChromeについて、2026年のChrome 154から「常に安全な接続を使用する」を既定でオンにすると告知しています。HTTPSのサイトでも、入口や転送の途中の段階がHTTPだと警告が出るとのことで、弊社の状態を確認したいと考えています。
https://blog.google/security/https-by-defau/【確認した状況】
弊社の名刺・封筒・チラシには 〔 〕 というURLを記載しています。
このURLを手入力で開いたところ、〔正常に表示されました/エラーになりました/確認できませんでした〕。【お伺いしたい点】
1. www あり・なしの両方が、HTTPSで応答する状態になっているでしょうか。
2. なっていない場合、両方がHTTPSで応答するように設定することは可能でしょうか。費用が発生する場合は、金額もあわせてお知らせください。
3. 弊社で別のドメインを転送している場合、その転送の途中の段階もHTTPSに対応しているでしょうか。
4. 対応が必要な場合、いつ頃までに完了できそうかの見込みを教えてください。
4番を入れているのには理由があります。もし対応に時間がかかると分かったら、その間に配る紙をどうするか(新しく刷る分だけURLの表記を変える等)を、先に決められるからです。段取りは、答えが出てから組むより、待ち時間の長さを知ってから組むほうが速い。これは製造現場と同じです。
「なぜ今まで対応してくれなかったのか」という言い方をする必要は、まったくありません。
繰り返します。これは誰のミスでもありません。Googleがこの方針を告知したのは2025年10月28日です。それ以前に作られたサイトも印刷物も、当時の常識どおりに、当時として正しく作られています。ルールのほうが、後から変わったのです。
「ブラウザのルールが変わるそうなので、一度見ていただけますか」——それだけで、十分に通じます。
誠実に、線を引いておきます。
そして、過度に心配する必要もありません。Googleは、実験の結果として「利用者の中央値では、警告を見る回数は週に1回未満だった」という趣旨を書いています。ブラウザ全体が警告だらけになる、という話ではないのです。
問題は「量」ではなく「誰が見るか」です。週に1回未満だとしても、その1回が、御社の名刺を見て初めて訪れた見込み客の1画面目だったら——私が申し上げたいのは、それだけです。
ちなみに、この流れはChromeだけのものではありません。Googleの手引きには、「Safari、Firefox、EdgeもいずれもHTTPの接続をHTTPSへ引き上げており、HTTPへ落ちる前に警告する任意のモードを備えている」という趣旨が書かれています。一時的な話ではなく、ブラウザ全体が向かっている方向だという前提で考えるのが妥当です。
私が名古屋を拠点に、愛知・岐阜・三重の中小零細企業を対象に仕事をしていて強く思うのは、「投資が足りない」より「見えていない」ほうが、はるかに多いということです。今回の件も、費用をかけずに、社長ご自身の手で今日の午後に確かめられます。
もし、この点検の前に「そもそも、うちは何から手を付けるべきなのか」で迷われているなら、順番の決め方そのものを 中小企業のお金の使い方|投資の前に「ボトルネック」を見つける現場術 に書きました(ボトルネック=詰まっている一番の課題のことです)。お金を使う前に読む順番としては、こちらが先です。
また、入口の警告が白(問題なし)だったのに、それでも問い合わせが来ないという場合、次に見るのは「すでに来ている訪問者が、サイトのどこで静かに帰っているか」です。その見つけ方は ホームページから問い合わせが来ない|GA4で客が逃げる場所を見つける にまとめています(GA4=自社サイトに何人来て、どう動いたかを無料で見られるGoogleの道具です)。
ここから先は、私の役割の線引きです。私は、サーバーやドメインの設定作業を代行しません。仕様も設定の履歴も、その会社の手元に揃っているからです。また、「警告が出なくなればお客様が増えます」とお約束することもできません。私がお引き受けできるのは、この点検の結果も含めて、集客が伸びない原因が本当はどこにあるのかを数字で見極め、何に・どう投資するかを整理し、実行まで伴走する、その部分です。ここは有償のご支援になります。無料でお受けしているのは、次にご案内する初回面談(90分程度)までです。
そのうえで、まずは状況をお聞かせいただきたいという方は、無料相談はこちらのお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。初回面談はオンラインで90分程度。こちらから契約を急かしたり、その場で契約をお願いしたりすることはしません。新たな投資が不要と判断すれば、その旨を誠実にお伝えします。
※本記事に記載したChromeの予定・仕様・設定画面の名称は、2026年8月20日時点で上記の公式ページに掲載されている内容です。予定も仕様も画面も、変更されることがあります。最新の内容は、必ず上記の公式ページでご確認ください。
※引用は原文のまま掲載しています。英文引用に付した日本語訳は筆者によるもので、公式の日本語訳ではありません。訳文中の太字は筆者による強調です。Google公式ヘルプの日本語引用は、掲載されている文言のまま記載しています。
※設定手順は、Google公式ヘルプに掲載されている手順を文章として並べ直したものです(画面上のアイコン画像は文章に置き換えています)。
※marcrest.net の4通りの確認結果は、私が2026年8月20日に自社サイトで実際に確認した内容です。他社サイトの状態を示すものではありません。
※「警告を見る回数は週に1回未満(中央値)」は、Chrome 141で一部の利用者を対象に行われた実験の分析結果としてGoogleが公表しているものです。今後の実際の警告数を保証するものではありません。