ホームページから問い合わせが来ない|GA4で客が逃げる場所を見つける

「ホームページはあるんだけど、問い合わせが来ないんだよね」——名古屋で経営者の方とお会いすると、これは本当によく聞く言葉です。そして、その次に続くのはたいてい「そろそろ作り直した方がいいのかな」という一言です。

気持ちはよく分かります。ただ、私はこの場面で「まだ作り直さないでください」とお伝えすることがほとんどです。理由は単純で、どこで問題が起きているかを見ないまま作り直すと、同じ場所でまた詰まるからです。入口で逃げられているのに出口を直しても、結果は変わりません。

この記事では、無料で使えるGoogleアナリティクス4(以下GA4)を使って、あなたのホームページの「どこでお客さんが逃げているか」を自分で見つける方法を、専門用語をひとつずつ噛み砕きながらお伝えします。新しくツールを買う必要はありません。まずはご自身の手で、無料のGA4だけで確認できます。

その「直帰率」、あなたが思っている直帰率ではないかもしれません

最初に、多くの経営者がつまずいているポイントから始めます。

「直帰率」という言葉を聞いたことがある方は多いと思います。昔のGoogleアナリティクス(UA=ユニバーサルアナリティクス)では、直帰率とは「1ページだけ見て、そのまま帰ってしまった人の割合」を意味していました。今もこのイメージで数字を見ている方が、とても多いです。

ところが、現在のGA4では定義が変わっています。Googleの公式ヘルプでは、直帰率は「エンゲージメントが発生しなかったセッションの割合」と定義されています(出典:Googleアナリティクス ヘルプ「エンゲージメント率と直帰率」/2026年7月20日確認)。

「エンゲージメント」という言葉が出てきました。ざっくり言えば「ちゃんと関心を持ってもらえたか」という意味です。では「ちゃんと関心を持ってもらえた訪問」とは何か。これも公式に定義があります。

エンゲージメント セッションとは、次のいずれかの条件を満たすセッションを指します。
・10 秒以上継続する
・キーイベントが発生する
・ページビューまたはスクリーン ビューが 2 回以上発生する
(出典:同上/2026年7月20日確認)

つまり、この3つのどれか1つでも満たせば「関心を持たれた訪問」とカウントされ、どれも満たさなかった訪問の割合が、GA4の直帰率です。

ここが実務上とても大事です。1ページしか見ていなくても、10秒以上滞在していれば、GA4では「直帰」になりません。逆に、昔の感覚のまま「直帰率が高い=1ページで帰られている」と読むと、打ち手を間違えます。

(細かい話ですが、日本語ヘルプは「10 秒以上継続する」、英語ヘルプは “Lasts longer than 10 seconds”=10秒を超える、と表記が揺れています。ちょうど10秒がどちらに入るかを断定できるだけの根拠を私は持っていないため、ここは「おおよそ10秒」と理解しておけば実務上は困りません。)

お客さんが逃げる場所は、3か所しかない

私は独立前、製造業の現場で生産管理を長くやってきました。工場でモノが流れないとき、真っ先にやるのは「どの工程で止まっているか」を特定することです。全工程を一斉に改善する会社はありません。お金と時間が無限にないからです。

ホームページもまったく同じ構造です。お客さんが消える場所は、乱暴に言えば次の3か所しかありません。

  • ①入口:たどり着いた瞬間に「ここじゃない」と帰られている
  • ②道中:興味は持ったが、知りたい情報にたどり着けず迷子になっている
  • ③出口:問い合わせようとしたが、フォームの手前で止まっている

この3か所は、必要な打ち手がまったく違います。①なら見出しや広告の狙いを直す話、②なら導線と情報設計の話、③ならフォームの項目数や電話番号の見せ方の話です。どこで詰まっているかを決めずに「サイトを作り直す」のは、どの工程が悪いか分からないまま新しい機械を1台買うのと同じです。この考え方は投資の前にボトルネックを見つける現場術の記事でも詳しく書いていますので、あわせて読んでみてください。

実際の見つけ方:GA4の3手順

ここからは手順です。GA4の画面を開きながら読んでいただくのが一番早いです。

手順1:入口で逃げていないかを見る

GA4の[レポート]から、ページ別の数字を表示します。ここで見るのはアクセス数(表示回数)ではなく「エンゲージメント率」です。エンゲージメント率は公式に「エンゲージメント セッションの割合」と定義されています(出典/2026年7月20日確認)。要するに「関心を持たれた訪問の割合」です。

見るべきは、アクセスが多いのにエンゲージメント率が低いページです。人は来ているのに、ほとんどが関心を持たずに帰っている。ここが最優先の改善対象になります。逆にアクセスが月に数件しかないページは、いくら数字が悪くても後回しで構いません。改善の優先順位は「悪い順」ではなく「悪い×人が来ている順」で決める——これは現場の不良対策とまったく同じ発想です。

手順2:道中で迷子になっていないかを見る

左メニューの[探索]→[新しいデータ探索を開始する]→[経路データ探索]を開きます。これは公式ヘルプに「ツリーグラフでユーザーの移動経路を確認できます」と説明されている機能で、お客さんがどのページからどのページへ移動したかを、枝分かれの図で見せてくれます出典/2026年7月20日確認)。

ここで探すのは2つです。

  • トップページの次に、どこへ行っているか。あなたが「一番見てほしいページ」に人が流れていないなら、導線が機能していません。
  • 同じページを行ったり来たりしていないか。公式ヘルプも用途として「ユーザーが操作不能になったことを示している可能性があるループ動作を発見する」ことを挙げています(同ヘルプ/2026年7月20日確認)。往復は、探しているものが見つかっていないサインです。

手順3:出口(問い合わせ手前)で止まっていないかを見る

同じ[探索]から[ファネルデータ探索]を選びます。「ファネル」は漏斗(じょうご)のこと。「トップページを見た人のうち何人が問い合わせページへ進み、そのうち何人が送信まで到達したか」を、段階ごとの人数で見る機能です。

ここで多くの中小企業がぶつかるのが、そもそも「送信完了」が計測されていないという壁です。GA4では、ビジネス上重要な行動を「キーイベント」として設定します。公式には「キーイベントとは、ビジネスの成果にとって特に重要なアクションを測定するイベントのことです」と定義されています(出典/2026年7月20日確認)。※以前は「コンバージョン」と呼ばれていた考え方に近いものです。

問い合わせ完了がキーイベントとして設定されていなければ、あなたのGA4は「成果が出た瞬間」を一度も記録していません。アクセス数だけが延々と溜まっている状態です。まずここを設定するのが、遠回りに見えて一番の近道です。

東海の中小企業でよく見かける3つのパターン

私が名古屋を中心にご相談を受ける中で、よく出会う型を挙げます(特定の企業の事例ではなく、傾向として共通するものです)。

  • 製造業:会社案内で止まっている。自社の設備や技術は載っているのに、「どんな課題を持った会社が、何を頼めるのか」が書かれていない。担当者は探しに来ているのに、自分の用途に当てはまるか判断できず帰ってしまう。→ 入口の問題。
  • 建設・工事業:実績はあるのに見えていない。施工実績が写真だけで並び、規模・工期・立地といった「自分の案件と近いか」を判断する材料がない。→ 道中の問題。
  • 士業・サービス業:フォームが重い。相談したいだけなのに入力欄が10項目以上あり、住所や会社規模まで求められる。→ 出口の問題。

いずれも、サイトを丸ごと作り直さなくても手を打てる範囲です。「作り直す」は最後の手段であって、最初の手段ではありません。

数字を見る前に、決めておくこと

最後に、私が一番お伝えしたいことを書きます。

GA4は非常に高機能で、見ようと思えばいくらでも数字が出てきます。だからこそ「何が起きたら成功なのか」を先に決めておかないと、数字を眺めるだけの時間が延々と過ぎていきます。これは経営者にとって、お金を使うより高くつく無駄です。

決めることは、たった1つで構いません。「うちのホームページは、月に何件の問い合わせが来れば合格か」。この1本の物差しが決まると、見るべき数字が一気に絞られます。アクセス数が半分になっても問い合わせが増えたなら、それは前進です。

そして、ここまで読んで「うちのGA4、そもそも正しく動いているのか分からない」と感じた方も多いと思います。それはごく普通のことです。設定されたまま一度も見ていない、という会社の方がむしろ多数派です。まずは開いてみる。それだけで、次に何を直すべきかの見当がつきます。

ご自身で見てみて分からない箇所が残った場合や、数字は出たけれど打ち手の順番に迷った場合は、無料相談はこちらのお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。90分ほどお時間をいただき、まずはお話を聞くことに徹しています。売り込みはしませんので、その点はご安心ください。

お金を使う前に、詰まっている場所を見つける。私がいつも申し上げているのは、結局これに尽きます。