10月1日からゆうパックの基本運賃が変わります。平均の改定率は約10%で、サイズやお届け先で異なります。「送料込み」の見積は、何もしなければ黙って値下げしたのと同じに。届け先の地域を数え、今と10月からの運賃を並べて1行書く手順です。
見積書や価格表、通販の商品ページに「送料込み」と書いて、ゆうパックで荷物を送っている会社の方へ。
結論から書きます。2026年10月1日(木)から、ゆうパックの基本運賃が変わります。日本郵便の発表では、平均の改定率は約10%。ただし、サイズやお届け先によって改定率は異なるとされています。一律に10%上がるわけではありません。
「送料込み」で出している見積・価格表は、今日のうちに「いつの運賃で計算したものか」を確かめてください。運賃が上がった日から、何もしなければ、上がった分はそのまま自社の持ち出しになります。黙って値下げしたのと同じことが起きます。
先にお断りしておきます。上がった分をお客様の値段に乗せるか、自社で吸収するかは、経営の判断です。この記事は「上がった分は値段に乗せましょう」と勧めるものではありません。お渡しするのは、「自社の見積が、いつの運賃で計算されているかを知っている状態」までです。
(b)(d)の方へも、1つだけ。「送料」の前提は、運賃だけではありません。箱や袋、緩衝材などの資材の値段にも乗っています(ゆうパックの箱や袋などの包装用品の価格も、同じ10月1日に改定されます)。自社の見積の中に、「いつの値段で計算したか」を言えない項目が無いか、1つだけ見てください。
(a)の方は、今日これだけやってみてください。クリックポスト・ゆうパケットだけで送っている方は、④だけでも1手になります(後の章で補足します)。
④で年月が書けず「不明」になったら、それが今日の発見です。いつの運賃か分からない見積が、いまも出ているということだからです。
1手が済んだかどうかの目安は2つです。いちばん多い組み合わせの運賃が、今の運賃表と10月1日からの表の2つの数字で並んだこと。見積・価格表の1枚に、「いつの運賃か」の1行(分からなければ「不明」)が入ったこと。この2つがそろえば、今日の1手は完了です。
記録がまったく無ければ、②は「いちばん多いと思う組み合わせ」で決めて構いません。④の1行は、記録が無くても書けます。(c)の方も、送料の額が入った見積があるなら、④の1行は同じように書けます。
なお、控えや領収書・請求書の額が、今の運賃表の数字とそろわないときは、割引などの条件がかかっている可能性があります。その場合の10月1日からの扱いは、日本郵便に確かめてください(発表の本文の末尾に、お問い合わせ先が載っています)。愛知から出す60・80サイズの県内・東海あては、この記事の後半の表に並べています。
ここからは根拠です。愛知から出す荷物を例に、2つの表を並べます。
日本郵便のサイトに今載っている愛知の基本運賃表では、60サイズで県内あて820円・東海の他の県あて880円です。10月1日からの東海発の表(税込と表示)では、840円と970円です。80サイズも並べると、次のとおりです。
| サイズと届け先 | 今の愛知の表 → 10月1日からの東海発の表 | 差 |
|---|---|---|
| 60サイズ・県内あて | 820円 → 840円 | 20円 |
| 60サイズ・東海の他の県あて | 880円 → 970円 | 90円 |
| 80サイズ・県内あて | 1,130円 → 1,150円 | 20円 |
| 80サイズ・東海の他の県あて | 1,200円 → 1,320円 | 120円 |
差は、2つの表に載っている数字をそのまま引いたものです。今の愛知の表のページには、税込か税別かの表示が見当たりません(10月1日からの表には「税込」とあります)。そのため、この記事では上がった割合(%)は計算していません。
60サイズで、県内あては20円、東海の他の県あては90円。同じ平均約10%の改定でも、届け先によって上がり方がこれだけ違います。
東京や大阪あても見ておきます。今の愛知の表では、60サイズの関東・信越・北陸・東海・近畿あては同じ880円です。10月1日からの東海発の表でも、関東・信越・北陸・東海・近畿あては同じ970円です。この2つのサイズで見るかぎり、県内あてより、東海の他の県や関東・信越・北陸・近畿あての方が、上がり幅が大きくなっています。
ここから言えるのは、平均約10%という1つの数字からは、自社の見積への影響は分からないということです。影響は、自社の荷物の届け先の内訳で変わります。今日の1手で正の字を書くのは、そのためです。
上の表の「今の愛知の表」は、愛知から出す荷物の表です。岐阜・三重から出している会社は、今の運賃を愛知の表で代わりにせず、日本郵便のサイトの基本運賃表で、自社の県の表(「基本運賃表(岐阜)」「基本運賃表(三重)」)を見てください。今の運賃表は、差出地の都道府県ごとに載っています。10月1日からは、岐阜・静岡・愛知・三重から出す荷物は、同じ「東海発」の表になります。
算数で1段落だけ書きます。以下の件数は、説明のための例です。
愛知の会社が、岐阜のお客様へ60サイズの荷物を「送料込み」で送っているとします。今の愛知の表なら880円、10月1日からの東海発の表なら970円です。表の数字どおりなら、値段を変えなければ、1件ごとに90円、手元に残る額が減る計算です。この組み合わせが月に50件あれば、月に4,500円です。
値札も見積書も、1文字も書き換わっていません。それでも、会社の手元に残るお金は減っています。これが「黙って値下げしたのと同じ」の意味です。
とくに気をつけたいのは、有効期限が10月1日をまたぐ見積です。9月に出した見積でも、荷物を出すのが10月1日以降なら、運賃は改定後のものです。
書き方に決まりはありません。大事なのは、後から見た人(自分を含む)が、いつの運賃で計算したかを読み取れることです。たとえば、次のような1行です。
2つ目のように書いてあれば、見た瞬間に「10月1日より前の運賃のままだ」と気づけます。書き込んだ1行が、そのまま次の見直しの合図になります。
この記事は、「上がった分は必ずお客様の値段に乗せるべきだ」とは言いません。取引先との関係、ほかの商品での利益の取り方、競い合っている相手の値段——乗せるか吸収するかを決める材料は、会社ごとに違います。吸収すると決めるのも、経営判断です。
ただ、知っていて吸収しているのと、知らないうちに吸収しているのとは、別のことです。前者は判断で、後者は判断がまだされていない状態です。この記事でお渡ししたいのは、前者に立つための材料までです。
私は独立前、製造業をはじめ複数の現場で、生産管理や営業に15年たずさわってきました。見積は、それを作った日の前提で計算されています。前提が変わっても、紙に書かれた数字は自分からは変わりません。前提が動いたときに見積を点検するのは、値上げのためではなく、自社の数字を自社で説明できる状態に保つためだと私は考えています。
上がった分を値段に乗せると決めた場合に、取引先へ伝える根拠の考え方は、値上げの根拠は、自社の原価表でなくていい|国が示す公表資料にまとめています(こちらは人件費の話です)。
「送料込み」の値段で、クリックポストやゆうパケットを使っている会社も、今日の1手の対象です。クリックポストは、発表の表で運賃が1つの額で示されているので、①〜③は飛ばして、④の1行が入れば完了です。ゆうパケットは、今は厚さごとに運賃が分かれているので、数えるなら、①は「届け先の地域」ではなく「厚さ」で分けてください。
ここまでが、日本郵便が公表している事実と、その読み方です。個別の契約運賃や割引の扱いは日本郵便や契約先に確かめるもので、上がった分を値段に乗せるかどうかは、それぞれの会社が決めることです。
私が有償のご支援としてお引き受けするのは、その先の部分です。送料も含めた数字を踏まえて、何にいくら使い、どこから手を付けるかの順番を、社長と一緒に決める——そこが私の仕事です。ここは有償のご支援になります。無料でお受けしているのは、次にご案内する初回面談(90分程度)までです。
無料相談はこちらのお問い合わせフォームからお知らせください。初回面談(90分程度)で伺うのは、現状とお困りごとです。そのうえで、新たな投資が不要と判断すれば、その旨を誠実にお伝えします。実際に手を動かす部分をご依頼いただく場合は、有償のご支援としてお引き受けします。
※本記事の運賃の情報は、2026年9月25日時点で日本郵便のサイトに掲載されていたものです。10月1日からの運賃は、2026年7月3日の発表時点の内容です。最新は日本郵便のサイトでご確認ください。