採用マーケティング

応募フォームから外す項目|国が挙げる14事項と1つずつ突き合わせる

この記事の要点

自社の応募フォームやエントリーシートに、聞かなくてよい欄が残っていませんか。厚生労働省が挙げる「就職差別につながるおそれがある14事項」と、自社の欄を1つずつ突き合わせる手順を、目安10分で示します。

自社の応募フォームを、いま開いてみてください。——応募者が実際に見る画面のほうです。入力欄は、いくつありますか。

従業員が10人から30人くらいの会社では、この応募フォーム(ホームページ上で、応募したい人が名前や連絡先を打ち込む画面のこと)やエントリーシート(応募のときに書いてもらう自社製の用紙のこと)を、社長ご自身か、総務のご担当者が手作りされていることがほとんどです。大企業のように、人事の専任部署が様式を点検しているわけではありません。

その結果、「昔から使っている履歴書に載っていたから」という理由だけで、そのまま残っている欄が出てきます。そしてその欄が、国が「就職差別につながるおそれがある」として挙げている14の事項のどれかに当たっている——ということが、実際に起こり得ます。

先に結論だけ言います

①結論:応募フォーム・エントリーシートの項目を1つ外すという一手は、二つのことに同時に効きます。ひとつは、応募しようとした人が入力の途中で手を止める理由が1つ減ること。もうひとつは、国が「配慮すべき」として挙げている事項への目配りになることです。ふつう、この二つは別々の話として語られます。でも、動かす対象は同じ「1つの欄」です。

②今日やる1手:自社の応募フォーム(または紙のエントリーシート・履歴書)を開き、厚生労働省が挙げている14事項と、欄を1つずつ突き合わせて○×を付けてください。この記事の中ほどに、そのまま使える突き合わせ表を置いてあります。目安10分。この点検に、費用はかかりません。

③この記事の対象:自社で応募を受け付けている中小企業の経営者・総務のご担当者。ホームページのフォームでも、紙のシートでも、どちらでも成立します。特別な道具は要りません。ログインの権限も要りません——応募フォームは、応募者と同じように、外から見るだけで中身が分かるからです。

逆に、対象でない方:採用の様式を人事部門が管理しており、外部の専門家がすでに点検している会社です。その場合、ここに書いたことは済んでいる可能性が高いので、10分を別のことに使ってください。


先に、いちばん大事な立て付けを書きます

これは、「あなたの会社は差別をしていますね」という話ではありません。1文字もそういう意味ではないので、そこだけは先に、はっきり書かせてください。

理由は2つあります。

理由1:聞いていた動機のほうが、たいてい正しい

「転勤をお願いできる人かどうか知りたかった」「急な呼び出しに対応してもらえるか確かめたかった」「面接の場の空気をやわらげたかった」——採用のミスマッチ(入社後に「思っていたのと違った」が起きること)を避けたい、というまっとうな動機です。

これは私がそう言っているのではなく、厚生労働省自身が、そう書いています。

面接時に、採用基準としないつもりでも、話の流れの中でうっかりたずねた事柄や、応募者の気持ちをやわらげようとして聞いた事柄の中にも、就職差別につながるおそれのある事項が含まれたりします。

「うっかり」「気持ちをやわらげようとして」——国の側が、この前提に立っています。

理由2:様式のほうが、後から変わった

こちらのほうが、もっと具体的です。

国が推奨していた履歴書の様式例は、もともとJIS規格(日本産業規格)の解説に載っていたものでした。ところが——

厚生労働省では、これまで公正な採用選考(※1)を確保する観点から、一般財団法人日本規格協会(以下「日本規格協会」という。)が、JIS規格の解説の様式例において示していた履歴書の様式例の使用を推奨していました。
令和2年7月に日本規格協会が、JIS規格の解説の様式例から履歴書の様式例を削除したため、厚生労働省で新たな履歴書の様式について検討を行い、事業主の皆様に広く参考にしていただくための様式例(厚生労働省履歴書様式例)を作成しました(別添ご参照)。

つまり、2020年7月にもとの様式例が無くなり、その後に国が新しい様式例を出した。それ以前に作られた自社のシートやフォームは、当時の様式どおりに、当時として正しく作られています。ルールと様式のほうが、後から動いたのです。

だから、責める相手はどこにもいません。やることは「今日1つ外す」だけです。


国が挙げている「就職差別につながるおそれがある14事項」

厚生労働省の公正採用選考特設サイトに、そのまま載っています。原文のまま引用します(並び順も、国の掲載順のままです)。

次の(a)や(b)の事項をエントリーシート・応募用紙に記載させる、面接時においてたずねる、作文の題材とするなどによって把握することや、(c)を実施することは、就職差別につながるおそれがあります。

(a)本人に責任のない事項の把握
本籍・出生地に関すること(注1)
住宅状況に関すること(間取り・部屋数・住宅の種類・近隣の施設など)
家族に関すること(職業・続柄・健康・病歴・地位・学歴・収入・資産など)
生活環境・家庭環境などに関すること

(b)本来自由であるべき事項(思想・信条にかかわること)の把握
宗教に関すること
人生観・生活信条などに関すること
思想に関すること
購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
支持政党に関すること
尊敬する人物に関すること
労働組合(加入状況や活動歴など)、学生運動などの社会運動に関すること

(c)採用選考の方法
身元調査など(注2)の実施
合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施(注3)
本人の適性・能力に関係ない事項を含んだ応募書類の使用

※これらに限られるわけではありません。

(注1)「戸籍謄(抄)本」や本籍が記載された「住民票(写し)」を提出させることはこれに該当します。
(注2)「現住所の略図等」は、住宅状況や生活環境などを把握したり、身元調査につながる可能性があります。
(注3)採用選考時において合理的・客観的に必要性が認められない「健康診断書」を提出させることを意味します。

ここは、言葉を1文字も丸めずに書きます

国が使っている言葉は「就職差別につながるおそれがあります」です。「違法です」でも「法律違反です」でもありません。

私は社会保険労務士でも弁護士でもありません。ですから、御社の個別の欄が法令上どう扱われるかを、私が判定することはしません。この記事でお渡しできるのは、「国が挙げている項目のリスト」と「自社の欄と突き合わせる手順」までです。そこから先の個別の判断は、後ろに書いた公的な相談先へどうぞ。

そして、国の側の説明に「※これらに限られるわけではありません」と付いていることも、落とさずに読んでください。14個を潰せば終わり、という性質のものではありません。


中小の手作りフォームで、実際に混じりやすい順に並べ替えました

国のリストは、(a)(b)(c)という性質の順で並んでいます。これは考え方を理解するには良い並びですが、自社のフォームを上から点検していくときの並びとしては、正直、使いにくい。

そこで、手作りのフォーム・シートに実際に載りがちだと私が考える順に並べ替えました。あわせて、「厚生労働省が質問例として挙げている文言」なのか、「私が当てはめたもの」なのかを、1行ずつ分けて書いています。ここを混ぜると、国が言っていないことを国の言葉のように読ませてしまうからです。

いちばん右の欄の付け方:○=自社の様式に載っていない/×=載っている。——×が付いても、「違法」という意味ではありません。国の言葉は「就職差別につながるおそれがある」です。×は「外すか、聞き方を変えるかを検討する欄」という印だと考えてください。

国の14事項のどれか 自社のフォーム・シートで見かける欄/質問 出どころ ○×
家族に関すること 「家族構成を教えてください」「父親の勤務先を教えてください」「家族の中に○○の職業に就いている人はいますか。」「兄弟の学校を教えてください。」 厚労省の質問例  
家族に関すること 「扶養家族数」「配偶者の有無」「配偶者の扶養義務」の欄/緊急連絡先の「続柄」を必須にしている 私の当てはめ  
住宅状況に関すること 「家の間取りを教えてください」「家は持ち家ですか、借家ですか」「不動産をお持ちですか」「家の周辺にどんな施設がありますか」 厚労省の質問例  
身元調査などの実施 「現住所(自宅付近)の略図等の提出を求めている」 厚労省の質問例  
本籍・出生地に関すること 「戸籍謄(抄)本の提出を求める」「本籍が記載された住民票(写し)の提出を求める」「生まれ故郷のことをたずねる」 厚労省の質問例  
合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施 「職種を問わず、応募者全員に健康診断書の提出を求めている」——ただし国の基準は「合理的・客観的に必要性が認められない」かどうかであり、「一律かどうか」ではありません 厚労省の質問例  
生活環境・家庭環境などに関すること 「実家暮らしか一人暮らしか」「同居しているご家族はいますか」など、暮らしぶりを書かせる・たずねる欄 私の当てはめ  
購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること 「愛読書は何ですか」/エントリーシートの「愛読書」欄 厚労省の質問例  
尊敬する人物に関すること 「尊敬する人物は誰ですか」/作文・小論文の題材にしている 厚労省の質問例  
人生観・生活信条などに関すること 「座右の銘」「私の信条」といった記入欄・作文テーマ 私の当てはめ  
宗教/支持政党/思想/労働組合・社会運動に関すること 「家の宗教は何ですか」「支持政党はどこですか」「労働組合や学生運動に参加しましたか」 厚労省の質問例  
本人の適性・能力に関係ない事項を含んだ応募書類の使用 上のどれか1つでも自社の様式に入っていれば、その様式そのものがこの項目に当たり得ます。——これは1つの欄ではなく、「入れ物」を指している項目です 私の当てはめ  

この並べ替えは、私の整理です。国が順位を付けているわけではありません。また、右から2列目が「私の当てはめ」となっている行は、国がその欄の名前を挙げているわけではなく、私が国の項目に照らして書いたものです。迷ったら、上の引用(国の原文)のほうを正としてください。

1点、混ざりやすいので分けて書きます。「通勤時間」「扶養家族数(配偶者を除く)」「配偶者」「配偶者の扶養義務」の4つは、この14事項の中に、その名前で挙がっているわけではありません。この4つは国が履歴書の様式例から外した項目のほうに入っています(この記事の後半で扱います)。「14事項に当たるから外す」と「国の様式例では設けないことにされたから外す」は、根拠が別です。混ぜて説明している記事を見かけますが、依頼や説明のときに困るので、分けておいてください。

「家族に関すること」を先頭に置いた理由は、国の集計にあります

並べ替えの根拠のうち、1行目だけは私の感覚ではなく、国の数字があります。

応募者から「本人の適性・能力以外の事項を把握された」と指摘があったもののうち、「家族に関すること」の質問が多くを占めています。面接の空気を和らげるために聞いてしまうケースが多いようですので、注意しましょう。

※令和6年度にハローワークで把握した854件の内訳

この854件の内訳は、同じ厚生労働省の資料に円グラフで載っています。数字はこうです。

指摘のあった事項 割合
家族に関すること 32.6%
思想 9.4%
住宅状況・生活環境 8.4%
本籍・出生地 7.1%
健康診断 0.7%
その他 41.8%

この数字の読み方について、限定を3つ添えます(ここは私の注記です)。

  • 令和6年度(2024年度)の全国の数字であり、東海3県に限った数字ではありません。
  • 「ハローワーク(公共職業安定所)で把握した」854件です。指摘が届いた分の集計であって、実際に起きたことの全部ではありません。
  • 「その他」が41.8%で最大です。つまり、名前の付いた5項目に収まらないものが4割あります。「家族の欄さえ消せば安心」とは読めません。

削るだけでは終わらせない——「聞きたかったこと」の置き換え方

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。

欄を消して終わりにすると、社長が本当に知りたかったことが、宙に浮きます。「転勤できる人か」「急な呼び出しに対応できるか」——これは採用の判断に本当に要る情報です。消したら困る。

だから国のほうも、「消せ」で終わらせていません。厚生労働省は、履歴書の様式例から4つの欄を外すと決めたときに、「その代わり、必要ならこう聞いてください」という質問例まで示しています。これは原文のまま引用します。

(参考)面接時に確認する際の質問例

①超過勤務・休日出勤関係
・当社では時期により早朝出勤、深夜までの残業、休日出勤をお願いする場合がありますが、対応は可能でしょうか?また、対応ができない場合、朝何時から、また夜は何時頃までであれば勤務が可能でしょうか?

②緊急対応関係
・○○により当番制でオンコール対応(○○分以内の出勤)がありますが、対応は可能でしょうか?

③配置先関係
・配置先は複数の営業所が候補となりますが、どの営業所でも勤務は可能でしょうか?
・配置先について配慮して欲しいことがあれば、その理由とともに教えてください。

④転勤関係
・転勤をお願いする場合がありますが、対応は可能でしょうか?
・転勤のお願いにあたり配慮すべきことはありますか?

⑤その他
・当社で勤めるにあたり、配慮すべきこと等、お伺いしておいた方が良いことはありますか?
・通勤時間が概ね○○分以上の場合、宿舎の利用もできますが、希望はありますか?

(パート労働者の場合)
・扶養の範囲内での勤務などは必要ありますか?

引用の中に出てくる「オンコール対応」は、勤務時間の外でも、呼び出しがあれば出られるように待機してもらう働き方のことです。介護・設備保守・運送などで使われます。

同じ資料には、この質問の使い方について、こう添えられています。

※ 上記質問は、面接者全員に行うようお願いします。
※ これらの質問を行う必要がある場合は、あらかじめ求人票や募集要領等に、関係する情報を記載してください。(特に上記①~④について)

ここに、実務としてよくできた設計が入っています。「家族構成」から転勤の可否を推し量るのではなく、本人に、そのまま聞く。しかも全員に同じことを聞くので、選考の基準がぶれません。知りたいことは、ちゃんと手に入ります。

そして2つ目の※——「あらかじめ求人票や募集要領に書いておいてください」。これは採用の入口としても、そのまま効きます。転勤や当番の有無を先に書いておけば、それを承知した人だけが応募してきます。面接で聞くより前に、条件がそろっているわけです。求人票側に何を書くかは 採用ページに何を書くか|求職者が探しているのに、載っていない項目 にまとめてあります。この記事が「聞かないこと」なら、あちらは「書いておくこと」です。表と裏です。


国の資料に、「応募が集まりにくくなる」と書かれている項目があります

冒頭で「項目を1つ外すと二つのことに同時に効く」と書きました。これは私が思いついた理屈ではありません。国の資料の中に、はっきり「企業側の損失」として書かれている箇所があります。身元保証人についての記述です。

※ 企業の中には、採用時に応募者に対して身元保証人をたてることを求める場合があります。この場合、身元保証人が確保できなければ採用されないという点で、応募者側では就職活動を行いづらくなるとともに、企業側にも応募者が集まりにくくなるという損失があります。応募者に広く門戸を開く観点から、募集の際には、できる限り身元保証人を求めないようにしましょう。

「企業側にも応募者が集まりにくくなるという損失があります」——採用の公正さを説く資料の中に、集まりにくくなる、という言葉が出てきます。方向が同じなのです。

ここは、私が言えることの線を引いておきます。私は「項目を減らせば応募が増えます」とは申し上げません。応募が増えるかどうかは、仕事の内容・賃金・地域・時期・他社の動きで決まる話で、欄を1つ消したことだけで動くとは言えないからです。

私が言えるのは、ここまでです。——入力の途中で手が止まる理由が、1つ消える。それだけです。ただしその1つは、欄を外した時点で無くなります。そして同じ一手が、国の挙げる事項への目配りにもなっている。だから、やる価値があります。

私がよく思い浮かべる場面(東海の中小での想定です)

岐阜の、従業員18人の金属加工の会社。求人を見た30代の方が、現場を上がった夜9時すぎに、スマートフォンで応募フォームを開きます。スマートフォンの画面は縦に細長いので、パソコンで見ると1画面に収まっている入力欄が、指でずっと送り続ける長い列になります。

そこに「扶養家族数」「本籍地」「身元保証人の氏名・勤務先」が並んでいる。この方は、いま手元でそれを答えられません。「あとで家で書こう」と画面を閉じます。——そして、たいてい戻ってきません。

この方が応募をやめたことは、会社側には個別には見えません。分かるとしても「フォームを開いた人の数」と「送信された数」の差だけで、しかもその2つを測っていない会社がほとんどです。「応募が来ない」の中に、この静かな取りこぼしが混じっていることがあります。

ちなみに、何から手を付けるかの順番——つまり経営のボトルネック(詰まっている一番の課題)の見つけ方そのものは、中小企業のお金の使い方|投資の前に「ボトルネック」を見つける現場術 に書きました。お金を使う前に読む順番としては、こちらが先です。


紙の履歴書のほうは、もっと簡単に片付きます

自社製のエントリーシートを使っている場合や、市販の履歴書を指定している場合は、国が様式例を公開しています。厚生労働省は、新規学校卒業予定者以外の応募者について「厚生労働省履歴書様式例」を推奨しており、PDFとExcelの両方を公開しています(ダウンロード先は記事末の出典に記載しました)。

この様式例が、従来の履歴書と違う点は2つだけです。原文のまま引用します。

1. 性別欄は任意記載欄となります。
2. 各欄(「通勤時間」「扶養家族数(配偶者を除く)」「配偶者」「配偶者の扶養義務」)の4項目は設けないこととします。

4つの欄を外した理由も、原文のまま置きます。

・上記4つの欄は、特に応募者のプライバシーの要素が非常に高い情報であることなどを踏まえ、新たな履歴書の様式例では項目欄として設けないこととしました。

性別欄については、限定が付いています。ここも落とさずに書きます。

性別の把握が必要な場合に、面接等で適切な方法により確認することは可能です。

そして、この様式例を使わなければならない、という話でもありません。そこも国が明記しています。

・厚生労働省が作成した履歴書の様式は参考として示したものであり、各企業が必要に応じ、この様式例以外の履歴書やエントリーシートなどを活用することも可能です。
・なお、様式例と異なる様式の履歴書などを活用する場合には、公正な採用選考の観点から好ましくない項目を設けることは行わないよう、十分ご留意をお願いします。

「参考として示したもの」「活用することも可能」——ここが正確なところです。義務ではありません。ただ、自社でゼロから様式を考え直すより、国が用意したものをそのまま使うほうが、手間もお金もかかりません。私が中小の会社にお勧めするなら、こちらです。


10分の手順(そのまま真似できる形にしました)

  1. 応募者と同じ画面で開く。管理画面ではなく、スマートフォンで自社サイトの応募フォームを実際に開きます。ここが最初の一手です。管理画面の項目一覧では、必須マークの付き方も、画面の長さも分かりません。
  2. 入力欄の名前を、上から順に紙に書き出す。「※必須」が付いているものには、印を付けます。紙のエントリーシート・指定の履歴書がある会社は、その欄を書き出してください。
  3. 上の突き合わせ表と照らして、1つずつ○×を付ける。迷ったら×側に寄せておき、あとで相談先へ回します。
  4. ×が付いた欄について、「本当は何を知りたかったのか」を1行だけ書く。——ここを飛ばさないでください。ここが一番大事です。「扶養家族数→本当は、扶養の範囲内で働きたい方かどうかを知りたかった」のように。
  5. その1行を、面接での聞き方に置き換える。上に引用した国の質問例①〜⑤が、ほぼそのまま使えます。全員に同じことを聞くのがコツです。
  6. あわせて、求人票・募集要領のほうに条件を先に書く。転勤・当番・休日出勤の可能性があるなら、募集の段階で書いておきます。
  7. フォームから欄を外す。自社で編集できるなら、その場で終わります。できない場合は、次の依頼文をお使いください。

フォームを直せない場合の、1往復で終わる頼み方

連絡する相手は、いまお付き合いのあるホームページの制作会社です。フォームの項目を減らす作業は、そのフォームを作った会社に頼むのが近道です。私はこの改修作業を代行しません。それが、御社にとって余計なお金と時間をかけない道だからです。

〔 〕の中と、会社名・お名前を、ご自身のものに置き換えてください。

お世話になっております。〇〇(会社名)の△△です。

採用の応募フォームについて、入力項目を減らしたいと考えており、ご相談させてください。

【外したい項目】
A. 厚生労働省が「採用選考時に配慮すべき事項(就職差別につながるおそれがある14事項)」として挙げている事項に関わるもの:〔本籍地/家族に関する欄(続柄・職業など)/住宅の状況/その他(   )〕
B. 「厚生労働省履歴書様式例」で設けないこととされた項目:〔通勤時間/扶養家族数(配偶者を除く)/配偶者/配偶者の扶養義務〕
C. 上のどちらでもないが、入力の負担が大きいため見直したいもの:〔身元保証人/健康状態/その他(   )〕

【理由】
上のAは厚生労働省が「採用選考時に配慮すべき事項(就職差別につながるおそれがある14事項)」として挙げている事項に関わるため、Bは「厚生労働省履歴書様式例」で設けないこととされた項目のため、Cは入力の負担を減らすためです。
https://kouseisaiyou.mhlw.go.jp/consider.html
https://kouseisaiyou.mhlw.go.jp/consider.html
https://kouseisaiyou.mhlw.go.jp/methods.html
https://kouseisaiyou.mhlw.go.jp/assets/pdf/methods/04.pdf

【お伺いしたい点】
1. 上記の項目を削除することは可能でしょうか。
2. 費用が発生する場合は、金額もあわせてお知らせください。
3. 削除にあたり、応募通知メールの本文や社内の受信様式に影響が出る箇所があれば、教えてください。

この依頼をするときに、しなくていいこと

「なぜこんな項目を入れたのか」という言い方をする必要は、まったくありません。

繰り返します。もとの様式例が無くなったのが2020年7月、国の新しい様式例が出たのはその後です。それ以前に作られたフォームは、当時の様式どおりに、当時として正しく作られています。制作会社は、御社が渡した項目のとおりに、きちんと形にしただけです。

そして——いま御社には、フォームを作った会社があり、その履歴が残っています。これは資産です。相談できる相手がすでにいるということですから、新しくどこかを探す必要はありません。「国の様式例が変わったそうなので、項目を見直したい」——それだけで十分に通じます。


判断に迷う欄が出たときの、公的な相談先

「うちの業務では、この情報がどうしても要るのだが」という欄は、たいてい出てきます。そこは、私ではなく公的な窓口へどうぞ。厚生労働省の公正採用選考特設サイトに、こう案内があります。

ご不明な点がありましたら、最寄りのハローワーク(公共職業安定所)または都道府県労働局へお問い合わせください。

相談は身構えるようなものではありません。同じ厚生労働省の資料には、報告を受けたときの対応がこう書かれています。

なお、ハローワークが不適切な事象の報告を受けた場合は、事業所に事実確認を行い、事実と認められれば、今後そのような質問等を行わないよう啓発・指導を行います。

もう1点、応募者の個人情報の扱いについては、職業安定法に定めがあります。ここは条文が長いので、厚生労働省の説明のほうを引用します。

なお、求職者の個人情報を保護する観点から、職業安定法第5条の5及び指針(平成11 年労働省告示第141 号)により、社会的差別の原因となるおそれのある個人情報などについては、原則として収集が認められません。

ここでも、限定を落とさずに書きます。同じ指針には「ただし、特別な職業上の必要性が存在することその他業務の目的の達成に必要不可欠であって、収集目的を示して本人から収集する場合はこの限りでないこと」という但し書きが付いています。「一律に、絶対に、集めてはならない」という書き方ではありません。

なお、この職業安定法第5条の5は、ハローワークや人材紹介会社だけの話ではありません。条文には「労働者の募集を行う者」が名宛人として書かれています。自社のホームページで直接募集している会社も、ここに含まれます。(現行条文は記事末の出典から確認できます)


まとめ

  • 厚生労働省は「就職差別につながるおそれがある14事項」を挙げている。国の言葉は「おそれがあります」であって、「違法です」ではない。本記事も、その線を越えていない。
  • これは「差別をしている」という話ではない。国の資料自身が「うっかり」「気持ちをやわらげようとして」と書いている。加えて、もとになっていた履歴書の様式例が2020年7月に無くなり、その後に国が新しい様式例を出した——様式のほうが後から動いた。
  • 今日やる1手:自社の応募フォーム(または紙のシート)をスマートフォンで、応募者と同じ画面で開き、欄を書き出して、本文の表と1つずつ突き合わせて○×を付ける。目安10分。この点検に費用はかからず、ログインの権限も要らない。
  • 削って終わりにしない。×が付いた欄について「本当は何を知りたかったのか」を1行書き、国が示している面接時の質問例①〜⑤に置き換える。全員に同じことを聞く。あわせて求人票側に条件を先に書く。
  • 紙の履歴書は「厚生労働省履歴書様式例」がそのまま使える。違いは①性別欄は任意記載 ②「通勤時間」「扶養家族数(配偶者を除く)」「配偶者」「配偶者の扶養義務」の4項目は設けないの2点。ただし国は「参考として示したもの」と明記しており、この様式例以外を使うことも可能。義務ではない。
  • 私は「項目を減らせば応募が増えます」とは言わない。言えるのは「入力の途中で手が止まる理由が1つ消える」という構造まで。ただしその1つは、欄を外した時点で無くなる。
  • 国の集計では、指摘のあった事項のうち「家族に関すること」が32.6%で最多(令和6年度にハローワークで把握した854件の内訳/全国/その他が41.8%で最大)。名前の付いた項目を消せば済む、という数字ではない。
  • 個別の欄が法令上どう扱われるかは、私は判定しない。迷ったらハローワーク(公共職業安定所)または都道府県労働局へ。厚生労働省のサイト自身が、その2つを問い合わせ先として案内している。

私が名古屋を拠点に、愛知・岐阜・三重の中小零細企業を対象に仕事をしていて強く思うのは、「足りないから応募が来ない」より「余計なものが入り口に置いてある」ほうが、直すのが速いということです。ここでお伝えした点検は全部、無料で、社長ご自身の手でできます。読んだうえで、私から何かを買っていただく必要はありません。

ここから先は、私の役割の線引きです。私は社会保険労務士でも弁護士でもありませんので、御社の個別の欄が法令上どう扱われるかの判断は行いません。そこはハローワーク・都道府県労働局や、労務の専門家へご相談ください。また、フォームの改修作業そのものも代行しません。仕様も変更の履歴も、その会社の手元に揃っているからです。私がお引き受けできるのは、応募が集まらない原因が本当はどこにあるのかを数字で見極め、何に・どう投資するかを整理し、実行まで伴走する、その部分です。ここは有償のご支援になります。無料でお受けしているのは、次にご案内する初回面談(90分程度)までです。

そのうえで、まずは状況をお聞かせいただきたいという方は、無料相談はこちらのお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。初回面談はオンラインで90分程度。こちらから契約を急かしたり、その場で契約をお願いしたりすることはしません。新たな投資が不要と判断すれば、その旨を誠実にお伝えします。


出典(すべて2026年8月20日に取得)

※本記事に記載した「就職差別につながるおそれがある14事項」、厚生労働省履歴書様式例の内容、および数値は、2026年8月20日時点で厚生労働省の公式サイトに掲載されている内容です(自主点検資料は令和8年度版、職業安定法は施行日2026年4月1日の現行条文を確認しています)。制度・様式・数値は変わります。最新の内容は上記の公式ページでご確認ください。
引用部分は、厚生労働省の掲載文言のままです。改変はしていません。ただし、制作会社への依頼文だけは引用ではなく、私が作成した文例です(読みやすさのため、他の引用と同じ囲みで表示しています)。引用中に付けた太字は、読みやすさのための筆者による強調です(14事項の引用では、国の見出し(a)(b)(c)の行のみを太字にしています)。円グラフで示されている数値は、数字と項目名を表に書き起こしました。
本文中の「私の当てはめ」「私の注記」と記した箇所、および項目の並べ替えは、公式の記載ではなく私自身の整理です。国が順位付けをしているわけではありません。
※当社は”何に・どう投資するか”の交通整理(マーケティング支援)を担います。採用選考の個別の可否判断、労務・法令に関する個別判断は行いません。ハローワーク(公共職業安定所)・都道府県労働局、または社会保険労務士・弁護士など該当分野の専門家へご確認ください。

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