採用マーケティング

求人票の外側で、いま動かせる場所はどこか|高卒採用の9月5日

この記事の要点

高校新卒の応募書類は9月5日から動き出します(令和9年3月卒・全国)。応募書類の様式は全国共通で、求人票に書ける情報には限りがあります。社長がご自身のスマホで自社サイトの3項目を確かめる手順と、そのまま送れる依頼文の文例までまとめました。

御社の採用ページを、社長ご自身のスマートフォンで最後に開いたのは、いつでしょうか。

結論から書きます。来年3月に高校を卒業する生徒の採用では、学校から企業への応募書類の提出が9月5日から始まります。選考の開始は9月16日です(令和9年3月卒=2027年3月卒。全国。厚生労働省の公表による)。一方、学校への求人申込み(求人票の送付)は7月1日以降に行うよう案内されています。つまり今、社長がご自分の判断だけで今日じゅうに書き換えられるのは、自社サイトの側です。サイトには提出期限がありません。今日直せば、今日から見える状態になります。

この記事は、こういう方に向けて書いています

  • 高校新卒の採用を今年やっている、または来年から考えている
  • 愛知・岐阜・三重で、社員が数人から数十人の会社を経営している
  • スマートフォンを持っている(今日やる1手は、それだけで終わります)

先に逃がしておきます。採用ページが無くて構いません。無ければ会社概要のページで結構です。メニューに「採用」が無く、〔会社概要/事業内容/お問い合わせ〕だけ、ということもあります。そのときは会社概要を開いてください。サイトそのものが無い会社、スマートフォンで開くと崩れて読めない会社も、この記事の後半の見出し「サイトが無い会社、スマートフォンで崩れる会社へ」で受け止めます。そのまま読み進めてください。

今日やる1手

ご自身のスマートフォンで、自社の採用ページ(無ければ会社概要)を開き、次の3つがその画面で探さずに見つかるかを確かめてください(求人票に書いてあるかどうかは、いったん脇に置きます)。

  1. 通勤の足(最寄り駅・バス便・駐車場の有無)
  2. 年間休日数
  3. 一番若い社員が、今どんな仕事をしているか

判定の物差しは「探さずに見つかったか」です。スクロール(画面を指で上下に動かすこと)の回数では判定しません。文字を大きく表示している方は、同じページでも動かす回数が増えるので、回数を基準にすると答えがぶれるからです。ページを上下に行き来して「あった」なら、それは×として扱ってください。

ゴールは直すことではありません。スマートフォンのメモに3行書く。ここまでです。×だった項目を書き留めるだけで、今日の分は終わりです。×が付いても構いません。むしろ×の項目こそ、これから足せる場所です。そのメモをそのまま送れる依頼文の文例は、後半の「メモの3行を、そのまま送れる文にする」に置きました。この1手に費用はかかりませんし、私に依頼する必要もありません。

なぜ「探さずに見つかったか」で見るのか

判定の言葉を、もう一段はっきりさせておきます。「求職者がスマートフォンで、その画面だけを見て分かるか」——これだけです。

ここでつまずきやすいのが、「年間休日数は求人票には書いてある」というケースです。求人票に書いてあることと、サイトを見た人がその画面で分かることは、別の話です。求人票を手に持っていない状態で御社の名前を検索した人には、求人票の記載は届いていません。判定するときは、求人票を机の上から一度どけて、画面だけを見てください。

私は独立する前の15年間、製造・生産管理・営業の現場で働いてきました。その経験から思うのは、働く場所を選ぶときに先に気になるのは、会社の理念よりも「朝どうやって通うか」「休みはいつ取れるか」という生活の話だ、ということです。これは統計ではなく、私の見方です。ただ、この3項目を選んだ理由はそこにあります。

3つの項目を、そのまま使えるチェック表にしました

見る項目 ○といえる状態 ×になりやすい形
通勤の足 最寄り駅名、駅からの手段(徒歩・バス・送迎)、駐車場の有無と台数が書いてある 住所と地図だけ。地図を拡大しないと駅が分からない
年間休日数 日数が数字で書いてある(例:年間休日◯日) 「休日:土日祝(会社カレンダーによる)」だけで、日数が出てこない
一番若い社員の仕事 名前は伏せてよい。年代・入社年目・今の担当・一日の流れが数行ある 「社員一同、明るい職場です」など、人が一人も見えない書き方

3つのうち、いくつ○が付いたでしょうか。0個でも構いません。ここは点数を競う場所ではなく、次に何を足すかを決めるための確認です。

3つめが×でも、それは伸びしろです

3つめの「一番若い社員が、今どんな仕事をしているか」は、×が付いても不思議のない項目です。高校を出てすぐ入った社員がまだ一人もいない会社なら、そもそも書きようがありません。これは会社の落ち度ではなく、順番の問題です。

書ける材料が無いときは、「一番若い社員」を「入社してから日が浅い社員」に読み替えて構いません。年齢でなくても、入って間もない人の一日が見えるだけで、読んだ側は自分の姿を重ねられます。

×が付いた項目は、これから足せる余地がそのまま残っている場所です。すでに書いてある項目より、書いていない項目のほうが、手を入れたときの変化が大きい。私は×をそう受け取っています。

そもそも、なぜ「求人票の外側」という話になるのか

高校新卒の採用は、日程が全国で決まっています。厚生労働省の公表資料から、令和9年3月卒(=2027年3月に卒業する生徒)の期日を引きます。

項目 日付
ハローワークによる求人申込書の受付開始 6月1日
企業による学校への求人申込及び学校訪問開始 7月1日
学校から企業への生徒の応募書類提出開始 9月5日
企業による選考開始及び採用内定開始 9月16日

※応募書類の提出開始について、沖縄県は8月30日とされています。
※この期日は、厚生労働省の説明によれば「全国高等学校長協会、主要経済団体、文部科学省、厚生労働省の協議により、毎年度」取りまとめられているものです。国が一方的に決めているわけではなく、学校側と経済団体が同じテーブルに着いて決めています。

手続きの流れも決まっています。愛知労働局の案内では、求人は「6月1日以降に求人者マイページより申し込んでください」とされ、「求人内容を確認後、求人票としてハローワークが『確認印』を押印のうえ交付します」と書かれています。学校への求人申込み(求人票の送付)は「7月1日以降に行ってください」。そして「応募を希望する生徒があった場合、9月5日以降(沖縄県は8月30日以降)、高等学校等から事業主に『全国高等学校統一用紙』が送付されます」。

なお、いったん学校へ送った求人票を後から訂正できるかどうかについては、私は公式の記載を確認できていません。ここでは断定しません。求人票そのものについて気になる点があれば、管轄のハローワークにお尋ねください。この記事が扱うのは、手続きを待たずに今日じゅうに動かせる場所の話です。

応募書類の様式についても、文部科学省・厚生労働省の連名通知にこう書かれています。

標記応募書類については、応募者の適性・能力に基づく公正な採用選考が行われるよう、新規高等学校卒業者については、文部科学省、厚生労働省及び全国高等学校長協会の協議により『全国高等学校統一用紙』を(中略)定め

(出典:文部科学省「新規高等学校卒業者及び新規中学校卒業者の採用選考に係る応募書類の様式の一部改定について」令和7年2月20日付)

加えて、愛知労働局の案内では、指定校求人(学校を指定して出す求人)への応募・推薦は、10月31日までは生徒1人につき1社、11月1日以降は生徒1人につき2社まで、とされています(愛知県の取扱い。この運用は都道府県によって異なります)。

ここで、私が言っていないことをはっきりさせます

私は「高校の先生や保護者が、御社のサイトを見ている」とは書きません。それを示す公的なデータを、私は持っていないからです。持っていないことは書かない——これは私の仕事のやり方です。

言えるのは、構造の話だけです。応募書類の様式は全国共通で、求人票に書ける情報量と書き方の自由度には限りがあります。だとすれば、そこに収まらなかった情報を置ける場所は、御社が自分で持っている場所——つまり自社サイトしかありません。「見られているから置く」ではなく、「置き場所がそこしか無い」という話です。

そして、この仕組みを窮屈なものとして書くつもりもありません。様式を統一した理由は、上に引いたとおり「応募者の適性・能力に基づく公正な採用選考が行われるよう」です。高校生が、学校の名前や大人の口利きではなく、自分の適性と能力で見てもらえるようにするための仕組みです。公正さを求人票という一点に集めているからこそ、その外側は各社の裁量に残されている。私はこれを、制度の欠点ではなく、構造の裏返しだと受け取っています。

求人票そのものの中身をどう線引きするかは、別の記事にまとめてあります。あわせて求人票の必須要件と歓迎要件|「人が採れない」の前に線を引き直すもご覧ください。

数字は「誰の・いつの」かを見てから使ってください

高卒採用の話になると、求人倍率の数字がよく出てきます。ここは慎重に扱う必要があります。

まず時点です。いま動いているのは令和9年3月卒(2027年3月卒)ですが、この学年の求人倍率は、2026年8月27日の時点では、厚生労働省の公表資料一覧に掲載を確認できませんでした。使えるのは、ひとつ前の学年——令和8年3月に卒業した生徒についての、令和8年3月末現在の数字です。厚生労働省がハローワーク求人について取りまとめたもので、対象は「学校やハローワークからの職業紹介を希望した生徒」です。

地域 求人倍率 全国と比べて
全国 4.12倍
愛知 4.94倍 上回る
岐阜 4.31倍 上回る
三重 3.12倍 下回る

※いずれも、令和8年3月に高校を卒業した生徒についての令和8年3月末現在の数値(厚生労働省の取りまとめ資料 第3表/ハローワーク求人に係るもの)。

ここが大事な点です。「東海は高卒の求人倍率が高い」と一括りにはできません。愛知(4.94倍)と岐阜(4.31倍)は全国(4.12倍)を上回っていますが、三重(3.12倍)は全国を下回っています。同じ東海3県でも方向が割れています。数字を根拠にするなら、御社が事業をしている県の数字を見てください。

「99.8%」という数字を見かけたら、主語を確かめてください

愛知労働局は、令和8年(2026年)4月の定例記者発表で「令和8年3月新規高等学校卒業者の職業紹介状況~新規高等学校卒業者の就職決定率 99.8%と前年並みの水準を確保~」と発表しています。

この数字は、内訳まで公表されています。就職希望者数8,352人、就職決定者数8,336人、就職未決定者数16人。8,336を8,352で割ると99.8%です。

つまり99.8%は「生徒側」の数字です。「就職を希望した生徒のうち、進路が決まった人の割合」であって、「愛知の企業の99.8%が採用できた」という意味ではありません。主語を入れ替えると、事実と違うことを言ってしまいます。私はここを取り違えないよう、数字を出すときは主語と時点をセットで書くようにしています。

メモの3行を、そのまま送れる文にする

×が付いた項目を、スマートフォンのメモに書けたでしょうか。ここから先は、今日でなくても構いません。

ご自身でサイトを直せる方は、メモに書いた行を採用ページ(または会社概要)の本文に足すだけで足ります。デザインを整えるのは後回しで構いません。文字が載っていることのほうが先です。ただし、年間休日数のような労働条件の数字だけは、仮の値を置かないでください。就業規則や求人票と同じ数字を書きます。言い回しは後から直せますが、数字が食い違うと、応募する側に誤解が残ります。

制作をお願いしている会社がある方は、次の文をそのままコピーして、宛先を変えて送ってください。判断ではなく転送で済む形にしてあります。○が付いた項目の行は、削って送ってください。×だった行だけで構いません。うまくコピーできないときは、この画面のスクリーンショットをそのまま送っても構いません。

いつもお世話になっております。◯◯(会社名)の△△です。

高校新卒の応募書類が9月5日から動くため、採用ページ(無ければ会社概要ページ)に次の3点を追記したいです。

1. 通勤の足:最寄り駅は◯◯駅/◯◯駅からバス◯分/駐車場あり(◯台・無料)
2. 年間休日数:◯日
3. 一番若い社員の一日:◯代・入社◯年目・担当は◯◯/朝は◯時に◯◯から始めます

言い回しは仮の形で構いません(数字は実際のものを入れます)ので、まず載る状態にしていただけますでしょうか。写真は後日お渡しします。
お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

◯の部分は、メモに書いた行を差し替えるだけです。文章の巧拙はここでは問題になりません。書いていない情報は、読む側には存在していないのと同じ——そこだけが今日の論点です。

サイトが無い会社、スマートフォンで崩れる会社へ

ここまで読んで「うちにはサイトが無い」「開いたら文字が小さすぎて読めなかった」という方。冒頭でお約束したとおり、ここで受け止めます。

サイトが無いことは、遅れていることではありません。今まで別の方法で人が採れていたのなら、それは御社の判断が実際に機能していたということです。

その場合の今日の1手は、ページを見に行くのではなく、同じ3項目の答えを自分の言葉でメモに3行書くことです。通勤の足、年間休日数、入って日が浅い社員の一日。この3行は、将来ページを作るときの原稿の一行目になりますし、学校訪問で渡す資料や、求人票を書くときの材料にもそのまま使えます。書いた3行は、サイトが有っても無くても無駄になりません。

スマートフォンで崩れて読めなかった場合も、判定は同じく×として3行に書き留めてください。直す順番の話は、その後です。

なお、求職者に対して伝えるべき事項そのものが増えている件は、別の記事にまとめています。求職者に伝えることが増えます|期限は10月1日か、次に募集を出す日かもあわせてご確認ください。

ここまでが、社長おひとりでできる範囲です

この記事で書いたことは、社長がご自身のスマートフォンだけで、私に頼まずに終えられる範囲です。開いて、3つを探して、メモに3行書く。ここに費用は発生しません。

一方で、採用ページを新しく作る、載せる文章を書き直す、サイト全体の動線(見に来た人がどう動くかの道すじ)を整える——このあたりから先は、手を動かす仕事になります。ここは有償のご支援になります。無料でお受けしているのは、次にご案内する初回面談(90分程度)までです。

初回面談では、御社の状況を伺い、お考えをお聞きしたうえで、私の見立てをお伝えします。無料相談はこちらのお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。

初回面談はオンラインで90分程度。こちらから契約を急かしたり、その場で契約をお願いしたりすることはしません。新たな投資が不要と判断すれば、その旨を誠実にお伝えします。

まとめ

  • 高校新卒の応募書類は9月5日から、選考は9月16日から(令和9年3月卒・全国)。学校への求人申込みは7月1日以降とされており、いま社長の手元で今日じゅうに動かせるのは自社サイトの側です。
  • 応募書類の様式は全国共通で、公正な採用選考のために定められたものです。だからこそ、そこに収まらない情報の置き場所は自社サイトになります。
  • 今日やる1手は〔通勤の足/年間休日数/一番若い社員の仕事〕が「探さずに見つかるか」。ゴールはメモに3行まで。
  • 数字は主語と時点で読む。求人倍率は、令和8年3月に卒業したひとつ前の学年についての令和8年3月末現在で、全国4.12倍・愛知4.94倍・岐阜4.31倍・三重3.12倍(三重は全国を下回る。令和9年3月卒の倍率は、2026年8月27日時点では確認できていません)。愛知の99.8%は生徒側の就職決定率であり、企業が採用できた率ではありません。

出典(すべて2026年8月27日に確認)

※本記事の日程・数値は2026年8月27日時点で確認した公表資料に基づきます。採用選考の期日は毎年度取りまとめられ、統計は時点ごとに更新されます。最新の内容は上記の公式サイトでご確認ください。

当社は”何に・どう投資するか”の交通整理(マーケティング支援)を担います。税務・申請手続きの個別判断は、税理士・該当分野の専門家や公募要領でご確認ください。高校新卒の採用手続きそのもの、労働条件の表示、個別の求人票の書き方については、管轄のハローワーク・都道府県労働局の案内や、社会保険労務士など該当分野の専門家にご確認ください。

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