採用マーケティング

採用ページに何を書くか|求職者が探しているのに、載っていない項目

この記事の要点

自社の採用ページに何を書くかは、感性で決めなくて構いません。求職者が求めたときに提供する情報として国が定めた12項目と、募集の場面で示すことが定められている11項目を、条文の逐語つきで整理しました。まずは自社ページを開いて、いくつ載っているか数えるところから。

結論から先に申し上げます。自社の採用ページに何を書くかは、感性やセンスで決めなくて構いません。理由は1つです。求職者が求めたときに提供する情報として、国が「青少年雇用情報」として法令(若者雇用促進法13条と同法施行規則3条1項)で定めているからです。その中身は、全部で12項目あります(条文が求めている提供の数は別にあります。後半で正確に書きます)。

中身は、たとえばこういう項目です。平均継続勤務年数/直近3事業年度の採用数と離職者数/1か月あたりの平均所定外労働時間(あらかじめ決められた労働時間を超えて働いた分)/有給休暇の平均取得日数/男女別の育児休業の取得状況/役員と管理職に占める女性の割合。——求職者が「この会社の面接に行くかどうか」を決めるときに知りたいことが、そのまま並んでいます。

今日やっていただきたいことは1つだけです。自社の採用ページを開いて、この12項目のうち、いくつ載っているかを数えてください。チェック欄付きの一覧を、この記事の中ほどに表で載せます。数えるだけなら10分ほどです。

この記事が役に立つのは、こんな会社です。

  • 自社ホームページに採用ページがある、またはこれから作ろうとしている
  • 求人票の文面をそのまま貼り付けている/何を足せばいいのか分からない
  • 新卒・既卒など、学校を卒業する見込みの方の採用を考えている(後半の12項目は、ここが直接の対象です)

中途採用しか行っていない会社でも、前半(募集の場面で示すことが定められている項目)は関わります。ただし後半の12項目は、条文上「学校卒業見込者等」——かみ砕けば新卒等——を条件とした募集についての規定です。この限定は、本文で正確に書きます。

逆に、採用ページを持たず、知人の紹介だけで採用が回っている会社には、この記事は不要です。ここで閉じていただいて構いません。

ここから先は、①この記事と求人票の記事は何が違うのか、②募集の場面で示すことが定められている項目、③求職者が「求めれば」提供する情報として法定された12項目、④検索結果に出したい場合の話と「掲載を終えるとき」の後始末、の順で書いていきます。

なお、この記事に出てくる条文の引用のうち、「…」は読みやすさのために一部を省略した箇所です。全文は末尾の出典からご確認ください。

求人票の記事とは、守備範囲が違います

先に、隣の記事との線を引かせてください。

求人票は、AIに書かせない|募集する会社が先に作る「事実台帳」の手順では、募集の文面そのもの——何を事実として持ち、どう書くか——を扱いました(媒体・自社サイトを問わず共通する話です)。今日は、自社サイトの採用ページに何を並べるかの話です。

ここで、多くの方が引っかかる点を先に潰しておきます。「媒体に出す求人票」と「自社の採用ページ」で、法令の扱いが変わるのか?という点です。

条文は、器(どこに出したか)で分岐していません。分岐しているのは”場面”です。

  • 職業安定法5条の3第1項は「労働者の募集…に当たり」と書かれています——募集の場面
  • 労働基準法15条1項は「労働契約の締結に際し」と書かれています——契約を結ぶ場面

ハローワークか、求人サイトか、自社の採用ページか、という切り口では書かれていません。いま自分がどちらの場面にいるかで、参照する条文が変わります。ここを取り違えると、「うちは媒体に出していないから」という切り分けが生まれますが、条文はその切り分け方をしていません。

「労働者の募集」の定義には、「自ら」行う場合も入っています

職業安定法4条5項に、「労働者の募集」の定義が置かれています。

「この法律において『労働者の募集』とは、労働者を雇用しようとする者が、自ら又は他人に委託して、労働者となろうとする者に対し、その被用者となることを勧誘することをいう。」

要点は「自ら又は他人に委託して」の一句です。他人に委託した場合だけでなく、自ら行う場合も定義に入っています。

さらに、インターネット上での情報提供は、施行規則にも名前が出てきます。職業安定法施行規則4条の3第1項です。

「法第五条の四第一項の厚生労働省令で定める方法は、書面の交付の方法、ファクシミリを利用してする送信の方法若しくは電子メール等の送信の方法又は著作権法…第二条第一項第八号に規定する放送、同項第九号の二に規定する有線放送若しくは同項第九号の五イに規定する自動公衆送信装置その他電子計算機と電気通信回線を接続してする方法その他これらに類する方法とする。」

読みにくい条文ですが、インターネット上での情報提供が「広告等」の方法として条文上列挙されている、ということです。「自社サイトは対象外」という切り分けは、条文には書かれていません。

——ただし、御社の個別の募集がこれらの条文にどう当てはまるかの判断は、社会保険労務士など該当分野の専門家の領域です。私は適法・違法の判定は行いません。条文にこう書かれている、という事実までをお伝えします。

募集の場面で示すことが定められている項目

職業安定法施行規則4条の2第3項(職業安定法5条の3第4項の委任を受けた規定)に、一覧があります。号の並びは一/二/二の二/二の三/三/四/五/六/七/八/九の11項目です。

この11項目の全リスト(チェック欄付き)は、前作の応募が来たのに、面接の前に辞退される|「間」で起きていることに載せてありますので、埋め作業はそちらをお使いください。今日は、採用ページを組み立てるうえで押さえておきたい2点だけを取り出します。

1点目——11項目のうち、2つには条文上の限定が付いています

同項には、次のただし書きが置かれています。

「ただし、第二号の三に掲げる事項にあつては期間の定めのある労働契約(当該労働契約の期間の満了後に当該労働契約を更新する場合があるものに限る。…)に係る…場合に限り、第八号に掲げる事項にあつては労働者を派遣労働者…として雇用しようとする場合に限るものとする。」

つまり、第二号の三(有期労働契約を更新する場合の基準)と第八号(派遣労働者として雇用しようとする旨)には、条文上「〜の場合に限る」という限定が付いています。裏返せば、残る9項目には、こうした限定が付いていません。

採用ページを作るときに、この差は効きます。ただし書きの文言をそのまま読めば、限定が付いているのはこの2つだけ——という見通しが立つからです。「11項目もあるのか」と身構えるより、条文の並びを先に把握したほうが、手が動きます。

なお、自社の募集がこの限定に当たるかどうかの当てはめは、私は行いません。ここでお伝えしているのは、条文にただし書きが置かれていて、そこに「〜の場合に限る」と書かれている、という事実までです。判断が要る場面では、社会保険労務士など該当分野の専門家へご確認ください。

2点目——2024年4月に入った「変更の範囲」は、カッコ書きで入っています

2024年4月1日から、明示すべき事項に「変更の範囲」が加わりました。条文上は、独立した号としてではなく各号のカッコ書きとして入っています。ここが見落としの温床です。

  • 第一号「労働者が従事すべき業務の内容に関する事項(従事すべき業務の内容の変更の範囲を含む。)」
  • 第三号「就業の場所に関する事項(就業の場所の変更の範囲を含む。)」

「〜を含む。」——この一句が付いたかどうかだけの違いです。求人票のフォーマットを流用していると、カッコ書きごと落ちます。

「変更の範囲」という言葉が何を指すのかについては、厚生労働省の資料から引いて前作の記事で説明していますので、意味を確かめたい方はそちらをご覧ください。

「募集の場面」と「契約を結ぶ場面」は、列挙の粒度が違います

ここは、条文を並べて初めて見えてくる部分です。同じ「変更の範囲」でも、職業安定法ルート(募集の場面)と労働基準法ルート(契約締結の場面)とで、条文の刻み方が違います。

2024年4月1日に加わった明示事項 職業安定法ルート(募集の場面) 労働基準法ルート(契約を結ぶ場面)
従事すべき業務の「変更の範囲」 職安則4条の2第3項第一号のカッコ書き 労基則5条1項第一号の三のカッコ書き
就業の場所の「変更の範囲」 職安則4条の2第3項第三号のカッコ書き 同上(労基則では、就業の場所と業務が1つの号にまとまっています
有期労働契約を更新する場合の基準
(通算契約期間・更新回数の上限を含む)
職安則4条の2第3項第二号の三 労基則5条1項第一号の二
無期転換申込みに関する事項/無期転換後の労働条件 職安則側に、該当する号はありません 労基則5条第5項・第6項

表の最終行の「無期転換」は、労働契約に関する別の法令に定めのある仕組みの名称で、ここでは条文上の項目名としてそのまま挙げています。その中身がどういう仕組みかは、労働契約に関する別の法令の領域ですので、ここでは立ち入りません。

この表から読み取れることは1つです。「募集のときに示す項目」と「契約を結ぶときに示す項目」は、重なってはいますが、条文の並び方は同じではありません。どちらか一方を用意すれば他方も足りる、という関係かどうかは、条文だけでは読み切れません。ここも私は断定せず、社会保険労務士など該当分野の専門家の領域として置いておきます。

そして、契約を結ぶ場面の条文には、書いたことを守るという定めが置かれています。労働基準法15条2項です。

「前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。」

労働基準法施行規則5条2項にも、こうあります。

「使用者は、法第十五条第一項前段の規定により労働者に対して明示しなければならない労働条件を事実と異なるものとしてはならない。」

採用ページを”よく見せる場所”だと考えるほど、この2つの条文との距離が近づきます。盛るほど、後で事実と合わなくなる。ここは、採用の側から見ても同じことが言えます。エン・ジャパン株式会社(現・エン株式会社)が2023年7月25日に発表した調査では、面接後に選考を辞退した理由の第1位が「求人情報と話が違った」(49%・複数回答)でした。詳しくは前作で扱っています。

本題——求職者が「求めれば」提供する情報として法定された12項目

ここからが、この記事の目玉です。

「採用ページに何を書けばいいか分からない」——この問いから、今日の記事を始めます。実のところ、求職者が知りたい項目は、国が一度きちんと言語化しています。青少年の雇用の促進等に関する法律——通称、若者雇用促進法です。

まず、条文が2段構えになっていることを押さえてください

同法13条は、第1項と第2項で義務の強さが違います。ここを混ぜて読むと、話がずれます。

第1項(逐語)——

「労働者の募集を行う者及び募集受託者は、…(略)…(以下…「学校卒業見込者等」という。)であることを条件とした労働者の募集(次項において「学校卒業見込者等募集」という。)を行うときは、学校卒業見込者等に対し、青少年の募集及び採用の状況、職業能力の開発及び向上並びに職場への定着の促進に関する取組の実施状況その他の青少年の適職の選択に資するものとして厚生労働省令で定める事項(…「青少年雇用情報」という。)を提供するように努めなければならない。」

第2項(逐語)——

「労働者の募集を行う者及び募集受託者は、学校卒業見込者等募集に当たり、当該学校卒業見込者等募集に応じ、又は応じようとする学校卒業見込者等の求めに応じ、青少年雇用情報を提供しなければならない。」

文末を並べると、差がはっきりします。

  • 第1項=「提供するように努めなければならない。」——努力義務として書かれています
  • 第2項=「求めに応じ、…提供しなければならない。」——求職者の求めがあったときの提供義務として書かれています

そして、両方に共通する限定を落とさないでください。対象は「学校卒業見込者等」——新卒等——を条件とした募集です。中途採用一般に及ぶ規定ではありません。ここを広げて読むと、事実が変わってしまいます。

12項目の一覧【自社の採用ページを開いて数えてください】

「厚生労働省令で定める事項」の中身が、同法施行規則3条1項に置かれています。3つの類型に分かれ、合計12項目です。右の欄を、自社の採用ページを見ながら埋めてみてください。

【類型1】青少年の募集及び採用の状況に関する事項(3項目)

条文の言葉 かみ砕くと 載っている?
直近の三事業年度に採用した者(…新規学卒者等…に限る。)の数及び当該採用した者のうち直近の三事業年度に離職した者の数 直近3事業年度に何人採用して、そのうち何人が辞めたか(新規学卒者等に限る、と条文に書かれています)
男女別の直近三事業年度に採用した新規学卒者等の数 直近3事業年度の採用数を、男女別に示したもの
その雇用する労働者の平均継続勤務年数 働いている人が、平均して何年勤めているか

【類型2】職業能力の開発及び向上に関する取組の実施状況に関する事項(5項目)

条文の言葉 かみ砕くと 載っている?
その雇用する労働者に対する研修の有無及びその内容 研修があるか、あるならどんな内容か
その雇用する労働者が自発的な職業能力の開発及び向上を図ることを容易にするために必要な援助の有無並びにその内容(ニに掲げる事項を除く。) 本人が自分から学ぼうとするときの支援があるか、あるならその内容(下の「ニ」に当たるものは除く、と条文に書かれています)
新たに雇い入れた新規学卒者等からの職業能力の開発及び向上その他の職業生活に関する相談に応じ、並びに必要な助言その他の援助を行う者を当該新規学卒者等に割り当てる制度の有無 新しく入った方に相談相手を割り当てる制度があるか(有無を示すものとして書かれています)
その雇用する労働者に対してキャリアコンサルティング…の機会を付与する制度の有無及びその内容 働く人が自分の職業人生について相談できる機会を設ける制度があるか、あるならその内容(「キャリアコンサルティング」は条文で使われている言葉です)
その雇用する労働者に対する職業に必要な知識及び技能に関する検定に係る制度の有無並びにその内容 仕事に必要な知識・技能の検定に関する制度があるか、あるならその内容

【類型3】職場への定着の促進に関する取組の実施状況に関する事項(4項目)

条文の言葉 かみ砕くと 載っている?
その雇用する労働者一人当たりの直近の事業年度における平均した一月当たりの所定外労働時間… 1人あたり、1か月平均で何時間の所定外労働があるか(所定外労働時間=あらかじめ決められた労働時間を超えて働いた分)
その雇用する労働者一人当たりの直近の事業年度において取得した有給休暇…の平均日数 1人あたり、有給休暇を平均で何日取っているか
育児休業…の取得の状況として、次に掲げる全ての事項
(1) その雇用する男性労働者であって、直近の事業年度において配偶者が出産したものの数及び当該事業年度において育児休業をしたものの数
(2) その雇用する女性労働者であって、直近の事業年度において出産したものの数及び当該事業年度において育児休業をしたものの数
育児休業の取得状況を、男性・女性それぞれについて(該当者が何人いて、そのうち何人が取得したか)。条文は「次に掲げる全ての事項」と書いています=(1)と(2)の両方です
役員に占める女性の割合及び管理的地位にある者に占める女性の割合 役員のうち何%が女性か、管理職のうち何%が女性か

数え終わりましたか。いくつ埋まったかは、御社の採用ページごとに違います。私はここで「多くの会社は載せられていない」といった一般論は申し上げません。手元の実物で数えた数だけが、事実です。

ここで、条文上の基準を正確に書いておきます——「それぞれ一以上」

誤解を避けるために、大事な条文を1つ足します。同法施行規則4条3項です。

「法第十三条第二項の規定による青少年雇用情報の提供は、前条第一項第一号イからハまでに掲げる事項、同項第二号イからホまでに掲げる事項及び同項第三号イからニまでに掲げる事項のうちそれぞれ一以上について、電子メールを送信する方法又は書面を交付する方法その他の適切な方法により行うものとする。」

「うちそれぞれ一以上」——これが条文上の基準です。12項目すべて、とは書かれていません。3つの類型それぞれから1つ以上、という書き方になっています。この記事で「12項目を数えてください」と申し上げているのは、条文がその数を求めているからではありません。——ここは、はっきり分けておきます。

では、なぜ数えるのか。私が採用の側から申し上げられるのは、この一点です。この12項目は、そのまま「求職者が、面接に行くかどうかを決めるために知りたいこと」の一覧になっているからです。国が求職者の目線から言語化した項目が、目の前にある。自社の採用ページに何を書くかを白紙から考えるより、この一覧を手がかりにしたほうが速い——というのが、採用の側から見た私の見立てです。

条文には、提供の方法として「インターネットを利用する方法」が書かれています

もう1つ、採用ページの話に直結する条文があります。同法施行規則4条1項です。

「法第十三条第一項の規定による青少年雇用情報の提供は、電子メールの送信その他のインターネットを利用する方法又は書面を交付する方法その他の適切な方法により行うものとする。」

「インターネットを利用する方法」が、条文の側から名指しで挙げられています。条文は、提供の方法を書面に限っていません。

ここで、私が踏み込まない線を引いておきます。どの項目を、どのタイミングで、どこまで示すべきかという当てはめは、指針やQ&Aの領域です。私はそこには立ち入りません。また、採用ページに載せることが「明示」の方法としてどう位置づけられるのかも、条文だけでは読み切れません。ここも断定しません。判断が要る場面では、社会保険労務士など該当分野の専門家へご確認ください。

「聞かれてから出す」と「最初から置いておく」の差

そのうえで、採用の側からの見立てを1つだけ書きます。ここから先は条文の話ではなく、私の見立てです。

条文の第2項は「求めに応じ」提供する、という組み立てになっています。つまり求職者の側から「教えてください」と言ってもらうことが起点です。

では、応募を迷っている段階の求職者が、会社に対して「平均継続勤務年数を教えてください」と聞けるでしょうか。——私は、そう多くはないと見ています。聞くこと自体が、選考でどう受け取られるか分からないからです。その結果、聞かれないまま、判断もされないまま、静かに離脱が起きる。

だから私は、「聞かれてから出す」より「最初から置いておく」ほうが、採用の実務としては強いと考えています。置いてあれば、求職者は聞かずに判断できます。そして判断できた人だけが応募してくるので、面接の前後で「話が違った」が起きにくくなります。応募と面接の「間」で何が起きているかは、前作の記事で数字とあわせて扱いました。今日の12項目は、その「間」で相手が探している中身そのものです。

費用はかかりません。かかるのは、社内から数字を集める手間だけです。そして——ここは正直に申し上げますが——集めてみて数字が芳しくなかったとき、それを載せるかどうかは経営判断です。私は「載せれば応募が増えます」とは申し上げません。ただ、載せられる数字が1つも無いのだとしたら、それは採用ページの問題ではなく、その手前の問題だと思います。

検索結果に出したいなら——必須プロパティの表にあるのは5つ。そして「掲載を終えるとき」の後始末まで自分の責任になります

最後に、技術寄りの話を1節だけ。ここは、自社サイトで採用ページを持つ会社にだけ発生する仕事です。

まず言葉を1つ噛み砕きます。構造化データとは、ページの内容を、検索エンジンが読み取れる決まった形式で書き添えておく記述のことです。求人情報向けの型が「JobPosting」です。読者には見えず、ページの裏側に書かれています。この形式で書き添える1つひとつの項目を「プロパティ」と呼びます。

この考え方と、応募までの数字の測り方については、求人を出しても応募が来ない|求人倍率より先に見るべき数字で扱っています。今日は「作った後」に発生する仕事に絞ります。

「必須プロパティ」の表に載っているのは5つです

Google 検索セントラルの案内で、「必須プロパティ」の表に挙げられているのは次の5つです(かぎ括弧内は同ページの記載の引用)。ただし、この表に載っていない項目でも、条件によっては必須になるものがあります。そこは、あとの節で扱います。

項目 記載の内容
datePosted 「雇用主が求人情報を投稿した最初の日付(ISO 8601 形式)。たとえば、”2017-01-24″」
ISO 8601形式=”2017-01-24″ のように年-月-日で書く形式のことです)
description 「HTML 形式での求人の詳細な説明。求人について詳細に説明します(職務、資格、スキル、業務時間、学歴に関する要件、経験に関する要件など)」
hiringOrganization 「求人をしている組織。会社名を指定する必要があります(例: “Starbucks, Inc”)。所在地は含めないでください
jobLocation 「オフィスや作業現場など、従業員の職場となる特定の場所。PostalAddress に streetAddress, addressLocality, addressRegion, postalCode, addressCountry を含めます」
なお同ページには、就業時間中つねにリモートワークとなる求人については jobLocationType を指定する必要がある旨も書かれています。
title 「職務の名称(求人情報のタイトルではない)。たとえば、”Software Engineer”、”Barista” のように指定します」

同ページには、こういう注意書きも添えられています。「description と title を同じにすることはできません。」

ここは取り違えやすい箇所です。「営業スタッフ募集!未経験歓迎【名古屋市】」のような求人情報のタイトルをそのまま title に入れてしまう形です。案内が求めているのは職務の名称のほうです。

validThrough は「推奨」の表にありますが、掲載を終える日が決まっているなら必須です

ここは、正確に書きます。掲載終了日を示す validThrough は、必須プロパティの表ではなく、推奨プロパティの表に載っています。推奨として挙げられているのは、applicantLocationRequirements/baseSalary/directApply/employmentType/identifier/jobLocationType/validThrough の7つです。

ただし、この項目には注意書きが添えられています。同ページの validThrough の欄には、こう書かれています。「注: これは、求人情報に有効期限がある場合に必須のプロパティです。」

かみ砕くと、こういうことです。推奨の表には載っているけれど、掲載を終える日が決まっている求人では、入れなければならない項目。表の見出しだけを見て「推奨なのだから省いても構わない」と読むと、逆になります。

逆向きの注意も、同じ欄に書かれています。「求人情報に有効期限がない場合や、求人情報がいつ期限切れになるかがわからない場合は、このプロパティを指定しないでください。求人情報が期限切れになる前に採用が決まった場合は、求人情報を削除してください。」

整理すると、こうです。終わる日が決まっているなら入れる。決まっていないなら入れない。そして、その日が来る前に採用が決まったら、求人情報のほうを削除する——案内には、そこまで書かれています。

ちなみに baseSalary には「雇用主から提示された実際の基本給(概算額ではない)」と書かれています。「ざっくりこのくらい」を入れる欄ではない、ということです。

本題はここ——「掲載を終えるとき」の後始末

自社サイトで採用ページを持つということは、募集を終えた後の始末まで自分の責任になる、ということです。掲載期間が定められている媒体であれば、期間の満了とともに掲載が終わります。自社サイトは、放っておけば残り続けます。

Google 検索セントラルの案内には、求人情報を削除する手順として、次のいずれかを行うと書かれています。

  • 「validThrough プロパティが設定されていて、その期間を過ぎていることを確認します。」
  • 「ページを完全に削除します(ページのリクエストに対して 404 または 410 ステータス コードが返されるようになります)。」
  • 「JobPosting 構造化データをページから削除します。」

コンテンツポリシーの「期限切れの求人情報」には、こう書かれています。

「期限切れの求人情報は掲載できません。ウェブサイトから期限切れの求人情報を削除するのが理想ですが、削除しない場合は、validThrough プロパティに値が設定されていることと、過去の値であることを確認してください。」

ここが、先ほどの注意書きとつながります。掲載を終える日を決めて募集を出すのであれば、validThrough は「入れておくと後で楽な項目」ではなく、「入れることになっている項目」です。入れていなければ、募集を終えた時点で、あらためて validThrough を書き足して過去の日付にするか、ページを消すか、構造化データを外すか——どれかの手当てを、そのときに行うことになります。入れてあれば、日付が過ぎるだけで終了扱いにできます。

逆に、終わる日を決めずに出している募集なら、指定しない——これも先ほどのとおりです。ですから、先に決めるのは「validThrough を入れるかどうか」ではありません。「この募集は、いつ終わるのか」のほうです。そこが社内で決まっていないと、入れるべきかどうかも決まりません。自社サイトで採用ページを持つというのは、この判断まで自分で持つ、ということです。

そしてこれは、募集情報を「正確かつ最新の内容に保たなければならない」と定めた職業安定法5条の4第2項(前作で扱いました)と、同じ方向を向いています。古い募集を出したままにしないという1つの作業が、条文の側から見ても、検索の側から見ても、求職者の側から見ても、同時に効きます。

もう1点、条文を足しておきます。同法5条の4第1項です。

「…広告等により求人若しくは労働者の募集に関する情報…を提供するときは、当該情報について虚偽の表示又は誤解を生じさせる表示をしてはならない。」

「誤解を生じさせる表示」——ここまで書かれています。採用ページを作り込むほど、書いた言葉に責任が伴います。私はここでも適法・違法の判定はしません。ただ、条文がこう書かれているという事実は、そのままお伝えします。

置き場所についての注意が1つ

構造化データの技術に関するガイドラインには、こうあります。

  • 「構造化データは、可能な限り最も詳細なリーフページに実装します。」
    リーフページ=それ以上枝分かれしない末端のページ。ここでは職種ごとの個別ページのことです)
  • 「宣伝する各求人情報に JobPosting プロパティを追加します。」
  • 「ほとんどのプロパティは、複数回追加できることが明確に示されていない限り、求人情報のウェブページに一度だけ表示します。」

補足として、こうも書かれています。「求人リストを提供することを目的としたページ(検索結果ページなど)には追加しないでください。構造化データは、1 件の求人とそれに関連する詳細情報を記載した、最も詳細なページに適用します。」

実務に引き直すと、「採用情報」の一覧ページではなく、職種ごとの個別ページに置くという形です。1ページに全職種を詰め込んでいる採用ページは、ここで手が止まります。作り始める前に、ページの分け方から決めておいたほうが、後戻りが少なくなります。

まとめ

  • 採用ページに何を書くかは、感性で決めなくていい。若者雇用促進法13条と同法施行規則3条1項が、求職者の求めに応じて提供する「青少年雇用情報」を3類型・全12項目として定めています(対象は「学校卒業見込者等」=新卒等を条件とした募集です)
  • 同法13条は第1項=「提供するように努めなければならない」/第2項=「求めに応じ、…提供しなければならない」の2段構えです
  • 条文上の基準は「3類型のうちそれぞれ一以上」であり、12項目すべてとは書かれていません。それでも12項目を数える価値があるのは、そこが「求職者が知りたいこと」の一覧だからです(ここは私の見立てです)
  • 提供の方法として、条文に「インターネットを利用する方法」が挙げられています
  • 募集の場面の明示事項(職安則4条の2第3項)は11項目。うち2つには条文上の限定があり、残る9項目には限定が付いていません
  • 条文は器(媒体か自社サイトか)で分岐していません。分岐しているのは”場面”——募集(職業安定法)か、契約の締結(労働基準法)か
  • 検索結果に出したい場合、構造化データの必須プロパティは5つ。掲載終了日を示す validThrough は推奨プロパティの表にありますが、同じ欄に「注: これは、求人情報に有効期限がある場合に必須のプロパティです。」と注記されています(有効期限がない募集や、いつ終わるか分からない募集では指定しない、とも書かれています)
  • ただし自社サイトで持つ以上、掲載を終えるときの後始末(期限切れの日付/404・410——そのページがもう無いことを検索エンジンに返す信号です/構造化データの削除)まで自分の責任になります

今日の1手は、これだけです。自社の採用ページを開いて、12項目のうちいくつ載っているかを数える。10分で終わります。埋まっていない欄は、求職者が「聞かないと分からない」項目です。そして——ここも私の見立てですが——多くの求職者は、聞かないまま判断を止めているのではないかと思います。

採用に限らず、お金をかける前に「いちばん詰まっている場所」をどう見つけるかという考え方については、中小企業のお金の使い方|投資の前に「ボトルネック」を見つける現場術にも書いています(記事中の「ボトルネック」は、この「いちばん詰まっている場所」のことです)。

私が担う範囲と、担わない範囲

最後に、線を引かせてください。

私が担うのは、採用ページの構成・情報設計と、その効き方の計測の設計であり、労働者の募集そのものに従事するものではありません。応募者を集めること、求人票・募集要項の作成、求人媒体への掲載代行、人材のご紹介は、いずれも行いません。また、労働条件の明示や情報提供が法令上の要件を満たしているかどうかの適法性の判断、および労働条件通知書などの書類の作成は、社会保険労務士など該当分野の専門家の領域です。私はそこには立ち入りません。本記事は、法令および公開されている技術文書に定められている内容を紹介し、採用の観点から考え方を一般的に解説するものです。

そのうえで、「採用ページに何をどこまで書けているのか、自社では判断がつかない」「求人票をそのまま貼っただけになっている」「募集を終えたページが、いつまで残っているのか把握できていない」——そうした自社サイト側の設計と、その後の運用の型づくりについては、外部CMO(社外のマーケティング責任者)としてご一緒できます。

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【出典】
・青少年の雇用の促進等に関する法律(昭和四十五年法律第九十八号)第13条第1項・第2項
https://laws.e-gov.go.jp/law/
345AC0000000098
(e-Gov法令検索/施行日2026年5月13日時点の現行条文/2026年8月9日閲覧)
・青少年の雇用の促進等に関する法律施行規則(平成二十七年厚生労働省令第百五十五号)第3条第1項、第4条第1項・第3項
https://laws.e-gov.go.jp/law/
427M60000100155
(e-Gov法令検索/施行日2022年10月1日時点の現行条文/2026年8月9日閲覧)
 ※同法13条の規定は「学校卒業見込者等」であることを条件とした労働者の募集を対象としたものです。中途採用一般に及ぶ規定ではありません。
・職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第4条第5項、第5条の3第1項・第4項、第5条の4第1項・第2項
https://laws.e-gov.go.jp/law/
322AC0000000141
(e-Gov法令検索/施行日2026年4月1日時点の現行条文/2026年8月9日閲覧)
・職業安定法施行規則(昭和二十二年労働省令第十二号)第4条の2第3項、第4条の3第1項
https://laws.e-gov.go.jp/law/
322M40002000012
(e-Gov法令検索/施行日2026年4月1日時点の現行条文/2026年8月9日閲覧)
・労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第15条第1項・第2項
https://laws.e-gov.go.jp/law/
322AC0000000049
(e-Gov法令検索/施行日2026年7月17日時点の現行条文/2026年8月9日閲覧)
・労働基準法施行規則(昭和二十二年厚生省令第二十三号)第5条第1項・第2項・第5項・第6項
https://laws.e-gov.go.jp/law/
322M40000100023
(e-Gov法令検索/施行日2026年4月1日時点の現行条文/2026年8月9日閲覧)
 ※職業安定法施行規則4条の2第3項の明示事項が2024年4月1日から改められた根拠は令和五年厚生労働省令第八十九号(公布2023年6月28日・施行2024年4月1日)、労働基準法施行規則5条の改正は令和五年厚生労働省令第三十九号(公布2023年3月30日・施行2024年4月1日)です。
・Google 検索セントラル「求人情報(JobPosting)の構造化データ」(日本語版)
https://developers.google.com/search/docs/
appearance/structured-data/job-posting?hl=ja
(2026年8月9日閲覧/2026年8月10日再確認)
 ※必須プロパティ・推奨プロパティ・技術に関するガイドライン・「求人情報を削除する」およびコンテンツポリシー「期限切れの求人情報」の記載は、いずれも同ページ(日本語版)の2026年8月9日時点の内容です。validThrough は推奨プロパティの表に記載されていますが、同表の同項目には「注: これは、求人情報に有効期限がある場合に必須のプロパティです。」との注記が添えられており、あわせて「求人情報に有効期限がない場合や、求人情報がいつ期限切れになるかがわからない場合は、このプロパティを指定しないでください。」とも記載されています。この2点は2026年8月10日に同ページ(日本語版)で再確認しました。なお本記事は公開当初、同項目について「必須プロパティではありません」と記載していましたが、上記の注記を反映し、2026年8月10日に該当箇所を修正しました。

・エン・ジャパン株式会社(現・エン株式会社)「8000人に聞いた『選考辞退』の実態調査ー『エン転職』ユーザーアンケートー」2023年7月25日発表
https://corp.en-japan.com/
newsrelease/2023/33829.html
(2026年8月10日閲覧)
 ※調査方法=インターネットによるアンケート、調査対象=転職サイト『エン転職』を利用するユーザー、調査期間=2023年5月29日〜6月27日、有効回答数=8,622名。本文で引用した「面接後に選考を辞退した理由、第1位は『求人情報と話が違った』(49%)」は同発表の記載です(複数回答)。

※条文の引用中の「…」は、記事の読みやすさのために一部を省略した箇所です。全文は上記の出典でご確認ください。
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※本記事は、法令および公開されている技術文書に定められている内容を紹介するものです。個別の募集や表示が法令上の要件を満たしているかどうかの判断は行っておりません。実務でのご判断にあたっては、必ず最新の条文および社会保険労務士など該当分野の専門家にご確認ください。

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