GA4のユーザー獲得とトラフィック獲得は、同じ問い合わせを別の入口の手柄に数えることがあります。どちらが正しいかではなく、答えている問いが違うからです。集客のお金を決める前に、その数字がどちらの問いの答えかを見分ける1手を紹介します。
今月、広告やSNS(交流サイト)など入口ごとに、お金や手間を増やす・減らすを決める予定がある方ほど役立つ話です。
9月25日の記事「GA4の問い合わせ件数は人数ではない」は、何を1件と数えるかの話でした。今回は、その1件をどの入口の手柄にするかです。
GA4で「どこから来たか」を見る表のうち、ユーザー獲得(最初に来た入口で分ける表)とトラフィック獲得(来るたびの入口で分ける表)は、同じ問い合わせを別の入口の手柄に数えることがあります。Googleのヘルプの例では、Googleから初めて来た人がアドレスを打ち込んで10回戻ると、ユーザー獲得は11回ともGoogle、トラフィック獲得は1回がGoogle・10回が直接。ただし条件によっては、トラフィック獲得も11回ともGoogleです。ブックマークなどで直接戻った来訪は、一定の期間内なら、トラフィック獲得でも前に来た入口の手柄になるからです(期間の既定は後半で)。2枚で分かれやすいのは、同じ人が別々の入口(たとえば最初は検索、次は広告)から来るときです。
Googleは、2枚の数字は比べるべきではないと書いています。数える範囲が違うからです。どちらが正しいかではなく、答えている問いが違います。お金を決める前に2枚を並べるのも、大小で正誤を決めるためではなく、その数字がどちらの問いの答えかを見分けるためです(ここは私の考えです。根拠は後半に)。問いとは、その入口に期待するのが新しいお客様を連れてくることか、来たことのある人を呼び戻すことかです。
(a) GA4を開ける方(パソコンで)
(b) GA4を開かない方:報告を作っている方へ、次の1行を送ります(返事を待つのは今日の分に入れません)。
この入口別の数字は、お客様が最初に来た入口で分けていますか、来るたびの入口で分けていますか。設定は変えずに、教えてください。
外さないこと
できたかの手がかり:表のいちばん左の列の見出しだけを見ます。「ユーザーの最初の…」のように「最初の」があればユーザー獲得、「セッションの…」のように「セッション」(1人が来てから離れるまでの訪問)があればトラフィック獲得。2回とも同じ語なら、同じ表を2回開いています(ほかの列にも「セッション」の語があるので、見るのは左端だけ)。キーイベントの列が問い合わせのイベント名、期間が先月になっているかも確かめ、紙に入口の名前・2つの数字・表の名前が並べば終わりです。同じ数字でも、違う数字でも成立です。(b)の方は、1行を送ったら終わりです。
結果ごとに
外さないことを、もう1つ。(iv) 2枚で差が出ても、これまでの判断が誤っていたことにはなりません。片方の問いへの答えとしては、正しい数字です。違う数字のとき、どちらで決めるかの軸は、後半の「どちらの数字で決めるか」に書きました。
行の名前は、日本語の画面でも英語で出ます。主なものと、Googleの定義の要旨です。
| 行の名前 | どこから来たか(Googleの定義の要旨) |
|---|---|
| Organic Search | 検索結果の、広告ではないリンク(Googleの検索のAIによる概要・AIモードを含む) |
| Direct | ブックマークなど保存したリンクか、アドレスの打ち込み |
| AI Assistant | ChatGPT・Gemini などのAI(Googleの検索のAIによる概要・AIモードは含まない) |
| Referral | ほかのサイトやアプリ(ブログ・ニュースサイトなど)の、広告ではないリンク |
| Unassigned | どの決まりにも当てはまらなかったもの |
Googleの例の「Google」は、この表では入口の種類の名前(広告以外の検索からなら Organic Search)で出ます。広告から来た来訪は、広告の種類によって Paid Search(検索広告)や Paid Social(SNSの広告)などの行に分かれることがあります。SNSの、広告ではない投稿やリンクから来た来訪は Organic Social、メールのリンクからは Email の行に出ます(Googleの定義)。Googleは、行の分け方の定義は市場の変化に合わせて変わりうる、とも書いています。
出所:Google Analytics Help「Default channel group」(英語版)の各行の説明をもとに要約(訳と要約は私のものです)/2026年10月2日に確認。
ここからは根拠です。GA4には、入口に関わる表がほかにもあります(たとえば「見込み顧客の獲得」)。この記事で扱うのは、Googleが1つのヘルプで並べて説明している2枚です。Google Analytics Help「User acquisition report vs. Traffic acquisition report」(英語版)は、2枚の違いを表にまとめています。そのうち3行を写します(訳は私のものです)。
| Category | User acquisition(ユーザー獲得) | Traffic acquisition(トラフィック獲得) |
|---|---|---|
| Scope(範囲) | User(人) | Session(訪問) |
| Focus(何を見るか) | New users(新しいユーザー) | New sessions(新しい訪問) |
| Objective(目的) | Understand how new users find and land on your website or app (新しいユーザーが、どうやってサイトやアプリを見つけて来たかを知る) |
Understand how you’re able to re-engage users across sessions (訪問をまたいで、ユーザーをどう呼び戻せているかを知る) |
出所:Google Analytics Help「User acquisition report vs. Traffic acquisition report」(英語版)の表から3行/2026年10月2日に確認。
そのうえで、2枚の数字について、こう書いています。
However, the dimensions in the leftmost column differ in scope so you can expect to see different values for the same metrics across reports. Therefore, you should not compare the metric values across the reports because you will see different values for the different scopes.
出所:同上(英語版)/2026年10月2日に確認。訳(私のもの):ただし、いちばん左の列の項目は範囲が違うので、同じ指標でも、レポートによって違う値が出ると見込まれます。したがって、範囲が違えば違う値が出るので、レポートをまたいで指標の値を比べるべきではありません。「指標」は、表に並ぶ数字の列のことです。
日本語版のページでは、この最後の文が「したがって、レポート間で指標の値を比較することはできません。」と訳されています。日本語版の末尾には「このページには、AI 技術を使用して翻訳されたコンテンツが含まれている場合があります。AI 翻訳には誤りが含まれている可能性があります。」という注記があり、この記事では英語版の言い方(should not compare=比べるべきではない)に合わせました。
この記事の1手は2枚を「並べる」ものですが、上の注意と食い違うものではないと私は考えています。並べるのは、どちらの数字が正しいかを大小で決めるためではなく、その数字がどちらの問い(上の表の「目的」)への答えかを見分けるためだからです。同じページの例でも、Googleは2枚それぞれの数え方の結果を書いて、違いを説明しています。冒頭で紹介した11回の来訪の例です。
If a user lands on a website for the first time from Google and later reopens the same website 10 more times directly by entering the site URL, then the 2 reports will be as follows:
- The User acquisition report will have all 11 sessions counted in the “Google” row
- The Traffic acquisition report will have 1 session in the “Google” row and the other 10 sessions in the “(direct)” row, if those sessions happened beyond the key event lookback window. If the other 10 sessions happened within the key event lookback window, the report will have 11 sessions in the “Google” row.
The difference allows you to analyze your efforts to acquire new users in the User acquisition report, as well as your efforts to engage those users on each of their visits (sessions) to your site in the Traffic acquisition report.
出所:同上(英語版)の「Example 1」/2026年10月2日に確認。訳(私のもの):ある人がGoogleから初めてサイトに来て、そのあとサイトのアドレスを打ち込んで同じサイトをさらに10回開いた場合、2枚は次のようになります。・ユーザー獲得では、11回の訪問がすべて「Google」の行に数えられる。・トラフィック獲得では、残りの10回がキーイベントの lookback window(さかのぼって手柄を付ける期間)の外で起きていれば、1回が「Google」の行、10回が「(direct)」の行。10回がその期間の内側で起きていれば、11回が「Google」の行。この違いによって、ユーザー獲得では新しいユーザーを獲得する取り組みを、トラフィック獲得では、そのユーザーが訪問するたびに関わってもらう取り組みを分析できます。
例の「Google」「(direct)」という行は、GA4で開いたときの表(入口の種類で分ける表)にはありません。そこでは Organic Search・Direct などの名前で出ます(上の「表に出る行の名前」)。また、いまのユーザー獲得の表には、既定では「セッション」の列がありません。この例の11回を、ご自分の画面で再現しようとしなくて大丈夫です。
例の条件に出てくる期間について、同じページの注にはこうあります。
Note: Sessions follow the non-direct last click attribution model, and the key event lookback window is determined by the “All other conversion events” setting, which is 90 days by default.
出所:同上(英語版)/2026年10月2日に確認。訳(私のもの):注:訪問(セッション)は、直接以外で最後に来た入口に手柄を付ける決まり(non-direct last click attribution model)に従います。キーイベントの lookback window(さかのぼって手柄を付ける期間)は「All other conversion events」の設定で決まり、既定では90日です。
つまり既定のままなら、直接以外の入口から最後に来てから90日以内に、ブックマークなどで直接戻ってきた来訪は、トラフィック獲得でもその入口の手柄になります。冒頭の例で「条件によっては11回ともGoogle」になるのは、このためです。逆に、2枚で付き方が分かれやすいのは、最初と違う入口(広告・SNS・メールなど)から戻ってきた来訪と、90日を超えてから直接戻ってきた来訪です(ヘルプの例と注から読み取れることです)。
この期間は、GA4の管理の画面にある設定(手柄の付け方の設定)で変えられます。ただ、今日の1手では変えません。Googleのヘルプ「Select attribution settings」には、こうあります。
The lookback window applies to all attribution models and all key event types. Changes to the lookback window apply going forward and are reflected in all reports within your Google Analytics property.
出所:Google Analytics Help「Select attribution settings」(英語版)/2026年10月2日に確認。訳(私のもの):この期間は、すべての手柄の付け方の決まり(attribution model)と、すべての種類のキーイベントに適用されます。期間の変更は、変えたあとの分から適用され、Google アナリティクスのプロパティ(サイト1つ分のデータのまとまり)の中のすべてのレポートに反映されます。
同じページには、選んだ期間が訪問(セッション)の手柄の付け方にも使われる、という注もあります。変えると、変える前の月と同じ物差しで比べられなくなります(私の見立てです)。変えるかどうかは、その数字を何の判断に使うかを、担当の方と決めてからで足ります。
なお、1手の②で期間の表示を変えるのは、これとは別の操作です。Googleのヘルプ「Change and compare date ranges in reports」には、こうあります。
You can change the date range in a report or compare data for one date range with data for another date range. When you change the date range in a report, all other reports are updated with the new date range. However, other users won’t see the changes.
出所:Google Analytics Help「Change and compare date ranges in reports」(英語版)/2026年10月2日に確認。訳(私のもの):レポートの期間を変えたり、ある期間のデータを別の期間と比べたりできます。レポートの期間を変えると、ほかのすべてのレポートも新しい期間に更新されます。ただし、ほかのユーザーには変更は見えません。
2枚のどちらを開いているかは、レポートの名前ではなく、表のいちばん左の列の見出しで見分けます。ヘルプは、それぞれの表の項目について、こう書いています。
You will notice that each dimension includes the text “First user”. “First user” indicates that the dimension describes how you initially acquired the user.
出所:Google Analytics Help「User acquisition report」(英語版)/2026年10月2日に確認。訳(私のもの):どの項目にも「First user」という語が入っています。「First user」は、その項目が、ユーザーを最初にどうやって獲得したかを表していることを示します。
Each of the following cross-channel traffic source dimensions includes the word “Session,” indicating that the dimension describes a user’s most recent session, regardless of whether they’re a new or returning user.
出所:Google Analytics Help「[GA4] Traffic acquisition report」(英語版)/2026年10月2日に確認。訳(私のもの):次の項目には、どれも「Session」という語が入っています。新しいユーザーか、戻ってきたユーザーかに関係なく、その人の直近の訪問を表していることを示します。
日本語の画面では、見出しは「ユーザーの最初のメインのチャネル グループ(デフォルト チャネル グループ)」「セッションのメインのチャネル グループ(デフォルト チャネル グループ)」のような長い名前で出ます(チャネル グループは、入口の種類のことです)。長い名前を一字一句探す必要はありません。探すのは「最初の」と「セッション」の語だけです。
この見分け方は、GA4を開かない方が受け取る月次の報告にも使えます。報告の表の見出しに「最初の」か「セッション」の語があれば、それが手がかりです。どちらの語も無ければ、(b)の1行で聞いてください。
判断の軸は、Googleが2枚の「目的」として書いている2行です。その入口に期待しているのは、新しいお客様を連れてくることか、来たことのある人を呼び戻すことか。前者ならユーザー獲得の数字が、後者ならトラフィック獲得の数字が、その問いへの答えです。どちらを期待しているかは、御社が決めることです。
たとえるなら、営業成績の付け方に似ています。新しい取引先を開拓した担当の手柄にするか、その月に注文を受けた担当の手柄にするか。どちらも間違いではなく、決め方が違うだけです(これは例えです)。
ヘルプの定義から読み取れることが1つあります(私の解釈です)。一度来た人に向けた広告など、呼び戻すための入口から来た来訪は、その人が以前に別の入口から来ていれば、ユーザー獲得では、その入口の行ではなく、最初に来た入口の行に数えられます。呼び戻しを期待している入口をユーザー獲得の数字だけで見ると、小さく見えやすいということです。
東海の製造業や工務店、設備のように、検討が長く、同じ見込み客が何度も戻ってくる業種ほど、最初の入口と来るたびの入口の差が出やすいと私は見ています(どのくらいの差になるかは、会社ごとに違います)。
左のメニューから外された表について、ヘルプにはこうあります。
Note: If you can’t find the report, it may have been removed or isn’t in your default view. Editors (and above) can add it back to the left navigation.
出所:Google Analytics Help「User acquisition report」(英語版)/2026年10月2日に確認。訳(私のもの):注:レポートが見つからない場合は、削除されたか、既定の表示に入っていない可能性があります。編集者(以上)は、左のメニューに戻すことができます。
閲覧だけの権限の方は、GA4を扱っている方(編集者以上の権限)に頼んでください。
返事が「最初に来た入口」なら、その数字はユーザー獲得と同じ問い(新しいお客様がどこから来たか)への答えです。「来るたびの入口」なら、トラフィック獲得と同じ問い(来たことのある人をどこから呼び戻せているか)への答えです。
報告に片方の分け方しか載っていなくても、手落ちではありません。Googleが目的別に2枚を用意している以上、どちらを使うかは目的によるからです。次からは、社内で報告の数字を見るときに、どちらの問いの数字かを書き添えておけば足ります。1行の質問も、相手を責めるものではなく、数字の意味をそろえるためのものです。
ここまでの1手(2枚の数字を並べること、1行を送ること)は、社長ご自身か、いまGA4を扱っている方の手で済むことです。私の手が要るのは、2枚の差の理由を切り分ける部分と、どの入口の判断にどちらの数字を使うかを御社と一緒に決め、毎月の見方に組み込む部分です。ここは有償のご支援になります。無料でお受けしているのは、次にご案内する初回面談(90分程度)までです。
なお、2枚を並べれば、どの入口にお金を出すべきかが分かる、とお約束することはできません。数字は判断の材料の1つで、どちらの数字を見ても、この1手だけでは入口の効き目を決められないからです。
入口別の数字の扱いでお困りの方は、無料相談はこちらのお問い合わせフォームからお知らせください。初回面談(90分程度)で伺うのは、現状とお困りごとです。そのうえで、新たな投資が不要と判断すれば、その旨を誠実にお伝えします。実際に手を動かす部分をご依頼いただく場合は、有償のご支援としてお引き受けします。
※本記事は、2026年10月2日時点のGoogle アナリティクスのヘルプと画面の表記に基づきます。画面の名前や並びは変わることがあります。最新はGoogleの公式ヘルプでご確認ください。
出典(いずれも2026年10月2日に確認)
・Google Analytics Help「User acquisition report vs. Traffic acquisition report」(英語版)
https://support.google.com/analytics/answer/14731736?hl=en
・Google アナリティクス ヘルプ「ユーザー獲得レポートとトラフィック獲得レポート」(日本語版)
https://support.google.com/analytics/answer/14731736?hl=ja
・Google Analytics Help「User acquisition report」(英語版)
https://support.google.com/analytics/answer/12922540?hl=en
・Google Analytics Help「[GA4] Traffic acquisition report」(英語版)
https://support.google.com/analytics/answer/12923437?hl=en
・Google Analytics Help「Select attribution settings」(英語版)
https://support.google.com/analytics/answer/10597962?hl=en
・Google Analytics Help「Change and compare date ranges in reports」(英語版)
https://support.google.com/analytics/answer/13412290?hl=en
・Google Analytics Help「Default channel group」(英語版)
https://support.google.com/analytics/answer/9756891?hl=en