ホームページの保守費を払っていても「どこまでが保守か」が紙に無いと、困る日に双方が「相手がやると思っていた」となりかねません。新しく発行される証明書の有効期間の上限は段階的に短くなっています。紙1枚に、困る日の8行と「誰が」を書きます。
毎月(または毎年)ホームページの保守費(作った後の手入れや見守りの費用)を払っていても、「どこまでが保守か」が紙に書かれていなければ、いざというときに双方が「相手がやると思っていた」となりかねません。今日、契約書(無ければ見積書か請求書)を1枚出して、紙に書いた困る日の8行に「誰が」を書き込んでください。名前が入らない行が、今日見つけるべきものです。
なぜ今か:証明書を発行する側の業界ルール(CA/Browser Forum という団体が定める基準)で、2026年3月15日以降に新しく発行されるサーバー証明書(住所が https:// で始まるホームページで使われる電子の証明書。SSLとも呼ばれます)は、有効期間の上限が200日になりました(2027年3月15日以降の発行分は100日、2029年3月15日以降の発行分は47日)。2026年3月15日から、今あるサイトの証明書が200日で期限を迎える、という意味ではありませんが、1年ものの証明書を、年に1回、誰かが覚えて手作業で更新していたなら、その「年に1回」という前提は、もう成り立ちません(更新が自動の仕組みなら、更新のたびに誰かが手作業をするわけではありません。自動か手作業かを紙で言えるようにするのが、下の8行の③です)。
対象:ホームページがある会社です。制作会社・保守会社・サーバー(ホームページのデータを置いておく場所)の会社・知人など外に頼んでいる会社も、社内の誰かが更新している会社も対象です(社内なら、8行を社内の人の名前で埋めます)。ホームページが無い会社は対象外です。ここで閉じて構いません。
今日は、管理画面(ホームページやサーバーの設定を変える画面)も、ブラウザ(ホームページを見るためのソフト)の設定も開きません。この記事でお願いするのは、紙と、取引先への連絡だけです。今日は何も変えず、何も買わず、何も申し込みません。「自動更新」「更新」「SSL」と書かれた設定にも触りません(期限が来た更新の手続きや支払いなど、いつもの作業は、いつもどおりです)。
この8行は私の見立てによる整理で、公的な標準でも、業界の標準でもありません。
完了の判定:8行すべてに、名前(取引先・社内の誰か・自動)か「書いていない」のどちらかが入っていれば、今日の1手は完了です。取引先の返事を待つ必要はありません。
先にお断りしておきます。「書いていない」は「やっていない」ではありません。書かずにやってくれていることもあります。「書いてある」も、「実際にできる」の確認ではありません(たとえばバックアップは、控えを取ることと、元に戻せることが別です。ここは私の見立てです)。「書いていない」は「契約違反」という意味でもありません。契約をどう読むかの判断は、この記事ではしません。
これは、今の取引先を替える話ではありません。同じ紙を、双方で持つ話です。
2手目は、「書いていない」行だけを並べて、取引先へ1通送ることです(今日でなくて構いません)。そのままコピーして送れる文面を、後半の「取引先へ送る1通」に置きました。文面には「このご連絡をきっかけに設定の変更や更新はなさらず、今の内容をお返事いただくだけで結構です(いつもの作業は、いつもどおりお願いします)」と入れてあります。
8行すべてに名前が入った会社は、その紙を契約書と一緒に、担当が替わっても見つかる場所へしまえば、今日は終わりです。保守を外に頼んでいない会社は、8行を社内の人の名前で埋めます。名前が入らない行が、今日の収穫です。
保守の中身が紙に細かく書かれていないことを、どちらかの手落ちだとは、私は考えていません。
2026年3月15日より前に発行されたサーバー証明書は、有効期間の上限が398日でした。1年ものの証明書を、年に1回、誰かが覚えて手作業で更新する。ドメインやサーバーの契約も、更新の時期に誰かが気づいて手続きをする。それで回っていたなら、紙に書く必要はありませんでした。書いていないのは、これまで双方の記憶で回せていたからだ、と私は見ています。
ところが、2026年3月15日以降に新しく発行される証明書は、上限が200日です。1年ものの証明書を年に1回、手作業で更新するやり方は、もう成り立ちません。2027年3月15日以降、2029年3月15日より前に発行される証明書の上限は100日です。更新が自動の仕組みになっていれば、更新のたびに誰かが手作業をするわけではありません。手作業なら、更新の作業は年に1回では済まなくなります。どちらなのかを、誰が知っているか。それを紙で言えるようにするのが、③の行です。ほかの7行も、同じ「誰が知っているか」を書く行です。
保守の範囲をはっきり決めておくことについては、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)の資料「ウェブサイト運営のファーストステップ」(2019年3月)に、次の一文があります。
委託先は契約内での対応しか行えないため、保守契約などで明確に対応範囲を取り決めておく必要がある。
出所:IPA「ウェブサイト運営のファーストステップ ~ウェブサイト運営者がまず知っておくべき脅威と責任~」(2019年3月)の7ページ「■ポイント」の1文目。「委託先」は、ホームページの構築や保守を頼んだ先のことです。
この一文が置かれた箇所の話題は、ホームページの安全上の弱点(脆弱性)への対応です。「■ポイント」の2文目からは、対応を頼んだ後も、終わるまで委託先と連携して対処すること、が続きます。上の8行を IPA が挙げているわけではありません。8行は、あくまで私の見立てです。
「誰が」の欄には、紙に書いてあることと、社内で確かに分かっていることだけを書きます。推測で埋めた行は、あとで見返したときに、確かめた行と見分けがつかなくなるからです。
| 困る日の行 | 「誰が」の書き方 | つまずきやすい点 |
|---|---|---|
| ① ドメインの更新の期限が来たとき | 手続きをする会社名か、社内の人の名前 | 更新の手続きをする人や料金を払っている人と、ドメインの名義(誰の名前で登録されているか)は、別のことがあります(表の下) |
| ② サーバーの契約の更新 | 手続きをする会社名か、社内の人の名前 | 料金を払っている人と、手続きをしている人が同じとは限りません |
| ③ サーバー証明書の更新 | 「自動」か、手作業ならその人か会社の名前 | 「自動」と書くのは、紙にそう書いてあるか、社内で確かに分かっているときだけ。推測で「自動」と書きません |
| ④ ホームページの土台を新しい版にする | 会社名か、社内の人の名前 | 「更新」とだけあるとき、本体だけか、追加機能も入るかは、紙では分からないことがあります。分からなければ「書いていない」 |
| ⑤ 壊れたとき、控えから元に戻す | 元に戻す人の名前。控えを取るところまでしか書いていなければ「書いていない」 | 「バックアップあり」は、控えを取ることだけの話かもしれません。元に戻せるかは別です(私の見立て)。元に戻すところまで含むかは2手目の1通で聞き、御社で試すことはしません |
| ⑥ 表示されなくなったとき | 連絡先の名前。何日以内か、平日だけかが書いてあれば横に | 連絡先が担当者個人だけだと、担当が替わったときにつながりにくくなります(私の見立て) |
| ⑦ 問い合わせのメールが届かなくなったとき | 届いているかを確かめる人の名前 | 届いたメールを読む人と、届いているかを確かめる人は、別の役です。確かめる役の名前を書きます |
| ⑧ 文章や写真を差し替えたいとき | 会社名か、社内の人の名前。回数と料金が書いてあれば横に | 「更新作業」とだけあるとき、この行か④の行かは、紙では分からないことがあります。分からなければ両方「書いていない」 |
①のドメインの名義については、「ドメインの名義は誰ですか|引っ越しを決めるのは払う人ではない」に、払っている人と、名義の人(登録者として記録されている人)は別の話だ、ということと、「.jp」で終わるドメインの場合の確かめ方を書きました。名義の確かめ方は、今日の1手には入りません。
「なぜ今か」に書いた日付は、証明書を発行する側(認証局=証明書を出す会社や団体)が守る業界ルール、CA/Browser Forum の「Baseline Requirements」(基本要件。Version 2.3.1・2026年10月4日付)によるものです。有効期間の上限は、証明書が発行された日で、次の4段に分かれています(同じ基準の表を、この記事で日本語にしたもの)。
| 証明書が発行された日 | 有効期間の上限 |
|---|---|
| 2026年3月15日より前 | 398日 |
| 2026年3月15日以降、2027年3月15日より前 | 200日 |
| 2027年3月15日以降、2029年3月15日より前 | 100日 |
| 2029年3月15日以降 | 47日 |
読むときの注意は3つです。
日本語で読める告知もあります。日本の認証局の1つである JPRS(株式会社日本レジストリサービス)は、2025年11月27日に公開したお知らせ(2025年12月15日更新)で、この段階の区切りが証明書の発行日であることを表で示し、自社の証明書については、自社のサービス改定(2026年2月18日)より前に発行したものの期限日は変わらないと案内しています(JPRSの証明書についての案内です)。
③の行に書いていただくのは、「自動か、手作業か」と、「それを誰が知っているか」です。証明書の更新が自動で行われる仕組みになっているなら、更新のたびに誰かが手作業をするわけではありません。上限が短くなるからといって、慌てて何かを買ったり、取引先を急かしたりする話ではありません。今日は何も買わず、何も申し込みません。
補足(お知らせのメールについて):証明書の発行元の1つである Let’s Encrypt は、2025年1月22日付のお知らせで、メールアドレスを登録した利用者に送っていた有効期限のお知らせのメールを、2025年6月4日で終えると告知しました。理由の1つ目には、この10年で、証明書の更新を確かな自動の仕組みにできた利用者が増えたことを挙げています。これは発行元の1つの話で、どの証明書にも知らせが来なくなった、という意味ではありません。御社の証明書がどこの発行かを、今日、調べる必要もありません。ここでも、③の行に「誰が知っているか」を書けば足ります。
紙で「書いていない」だった行だけを残して、そのまま送れる文面です。宛先は、保守をお願いしている取引先です(以下は、この記事のために作った文面で、引用ではありません)。
件名:ホームページの保守の範囲について(確認のお願い)
〇〇様
いつもありがとうございます。社内で、ホームページに関わる仕事を、項目ごとに「誰が受け持っているか」を1枚の紙に書き留めています。手元の契約書(または見積書・請求書)で読み取れなかった項目について、今の内容を教えていただけますか。
確認のお願いで、作業のご依頼ではありません。社内の担当が替わっても分かるように、という控えです。このご連絡をきっかけに設定の変更や更新はなさらず、今の内容をお返事いただくだけで結構です(いつもの作業は、いつもどおりお願いします)。
各項目に「含む」「含まない」「別料金」のどれかを添えていただければ十分です(各項目のかっこの中の問いは、お分かりになる範囲で結構です)。
・ドメインの更新の手続き:
・サーバーの契約の更新:
・サーバー証明書(SSL)の更新(自動か、手作業か):
・ホームページの本体と追加機能の更新:
・バックアップ(控えを取るまでか、元に戻すところまでか):
・表示されなくなったときの連絡先と、直るまでの目安(平日だけか):
・お問い合わせのメールが届いているかの確認:
・文章や写真の差し替え(月に何回までか):書き留めた紙は、御社にもお送りして、同じものを持っていただければと考えています。お手すきのときで構いません。
「確認のお願いで、作業のご依頼ではありません」と、控えを作る理由を入れたのは、受け取った側が、追加の作業の依頼や苦情と受け取らないためです。「このご連絡をきっかけに設定の変更や更新はなさらず」は、取引先が気を利かせて、急いで作業をしないための一文です。設定に触れるのは、御社ではなく取引先です。注意は文面の中に入れておかないと、相手には届きません。かっこの中の「いつもの作業は、いつもどおり」は、決まった時期の更新まで先送りにされないための一言です。
返事がそろったら、文面に書いたとおり、紙の写しを取引先にも送ります。
その場で決めません。見積が届いたら受け取るだけにして、今回は終えます(こちらから見積を頼まなくて構いません)。紙のその行に「別料金」(見積が届いていれば「別料金(見積あり)」)と書いておけば、次の契約の更新のときに、ほかの行と並べて考えられます。ただし、①〜③のように期限が来る行は、契約の更新を待たず、その行を誰が受け持つかを、その期限より前に決めます。
「今回は今の内容を書き留めたいだけなので、いつもの段取りのままでお願いします」と返せば足ります。
急かさなくて構いません。ただし、①〜③のように期限が来る行が残っているときは、日を置いてもう一度だけお返事をお願いし、それでも返事が無ければ、その行を誰が受け持つかを、次の期限より前に決めます(期限がいつか分からなければ、次に書く「今いちばん近い先」に、期限も聞きます)。作った会社や担当の方と連絡が取りにくいときは、今いちばん近い先——サーバーの会社や、社内で更新している人——に、同じ1通を、宛名や書き出し、結びの段落を相手に合わせて送ります。サーバーの会社に送るときも、設定には触りません。ドメインの名義については、上の表の下で触れた記事に書きました。
契約書が見当たらない、口約束で始まった、知人や元社員に頼んでいる。その場合は、直近の見積書や請求書、やりとりのメールで構いません。何も無ければ、紙に書かれた行はありません。社内で確かに分かっている行(社内の誰かがしている、等)を除いて、「書いていない」です。それで今日の1手は完了です。2手目の1通は、「書いていない」行をそのまま残して送れば、今の保守に含まれる内容を項目ごとに聞く形になります。
請求書に「保守一式」としか書いていない。その場合も、紙に書かれた行はありません。社内で確かに分かっている行を除いて、「書いていない」です。それが今日の発見です。「一式」としか書かれていないとき、まず内訳を教えてもらうのはごくふつうの確認だ、ということは、8月20日の記事「「FAQ構造化データ対応」は検索結果に出ない|次の見積から外す」の中にも書きました。あの回は、検索結果に出なくなった項目にお金を払っていないかを、明細の中から探す回でした。今日は、明細に書かれていない仕事に名前を入れる回です。
実在の会社の話ではありません。愛知・岐阜・三重の中小企業で起こりそうな場面として書きます。
私は、ホームページは、作った日よりも、その後の年月のほうがずっと長いと考えています。作るときの見積書には項目が並んでいても、その後の年月のことは、1行にまとめられていることもあります。
保守の中身を紙で持つことは、取引先を疑うことではありません。双方の記憶の負担を減らすことだと、私は思います。担当が替わっても、社長が替わっても、紙があれば話が続きます。
ここまでに書いたことは、御社だけでできる範囲です。
私の役割は、返ってきた答えをもとに、どこから手を付けるかの順番を決める部分です。ここは有償のご支援になります。無料でお受けしているのは、次にご案内する初回面談(90分程度)までです。
なお、契約の法的な解釈や、取引先とのもめごとについての判断はしません。
紙を書いてはみたものの手が止まっている方や、誰に聞けばよいか分からず止まっている方は、無料相談はこちらのお問い合わせフォームからお知らせください。初回面談(90分程度)で伺うのは、現状とお困りごとです。そのうえで、新たな投資が不要と判断すれば、その旨を誠実にお伝えします。実際に手を動かす部分をご依頼いただく場合は、有償のご支援としてお引き受けします。
※この記事の証明書の有効期間の記載は、CA/Browser Forum の Baseline Requirements(Version 2.3.1・2026年10月4日付)の、2026年10月9日時点の内容です。基準は改定されることがあります。最新の内容は、上の出典でご確認ください。