「ホームページが重い」は感覚のままにせず、まず無料のツールで測るのが先です。Googleが「良好」とする線はLCP2.5秒以内。実ユーザーのデータが出ないときに本当に直すべき場所まで、東海の中小企業の経営者向けにやさしく整理しました。
「うちのホームページ、なんだか重い気がする」——愛知・岐阜・三重の経営者の方から、こうしたお話をうかがうことがあります。ただ「重い気がする」は感覚です。感覚のまま直しに出すと、直ったのかどうかも分からないまま費用だけが出ていきます。だからまず、無料で測るところから始めます。
この記事の結論は、次の3つです。
やることは1つだけです。Googleが無料で公開しているPageSpeed Insightsを開き、自社サイトのURLを貼り付けて実行してください。ログインも会員登録も不要、費用もかかりません。パソコンからでもスマホからでもできます。
測るのは、まずトップページと、広告やチラシのQRコードから人が着地するページ(LP)の2本で十分です。結果はモバイル(スマホ)とデスクトップ(パソコン)で切り替えられます。Googleはこの2つを別々に評価すると明記しているので、両方見てください。
結果画面には、実際にそのサイトを訪れた人の環境で計測された数値(フィールドデータ、実ユーザーのデータ)が表示されることがあります。ここで、読者は2つに分かれます。
ここまでが結論です。以下は、根拠と、実際に自分で回すための手順です。
Googleは、ページの使い心地を測る指標を「Core Web Vitals(コア ウェブ バイタル)」と呼んでいます。名前は難しいのですが、中身は3つだけです。
ページを開いてから、いちばん大きな画像や見出しが表示されるまでの時間です。お店にたとえるなら、ドアを開けてから店内の照明がつくまでの時間。暗いまま待たされれば、人は出ていきます。
ボタンやメニューを押してから、画面が反応するまでの速さです。レジで「お願いします」と言ってから、店員さんが顔を上げるまでの間だと思ってください。押しても何も起きないと、人はもう一度押し、そして諦めます。
読み込みの途中で、あとから広告や画像が割り込んできて、文字や画像がガタッとズレる現象です。押そうとした瞬間にボタンが動いて、別のところを押してしまうあれです。これは秒ではなく、ズレの大きさを表すスコアで測ります。
もうひとつ、知っておくと得をする決まりがあります。判定は平均値ではなく75パーセンタイル、つまり訪問の4分の3がその線を満たしているかで見ます。「自分のiPhoneでは速いから大丈夫」が通用しないのは、これが理由です。あなたのスマホは、訪問者全体の中では速いほうに入っていることが多いはずです。
速度の話は、「速くすればSEOで勝てる」という言われ方をしがちです。ですが、Google公式の説明を素直に読むと、そうは書かれていません。同じページに、次の4つが並んでいます。
まとめると、「使われてはいる。しかし順位を保証するものではない」。これが今日時点の正確な言い方です。
私は、速度改善を「順位が上がります」という売り文句で売ることはしません。根拠を示せないからです。そのかわり、こう言います。速度は、すでに来てくれている人を取りこぼさないための工事です。順位は結果としてついてくることもあれば、こないこともあります。約束できるのは、来た人が待たされずに用件を済ませられるようになる、という一点です。
Googleは、実際のChrome利用者から集めたデータ(CrUX)を毎月公開しています。2026年6月のデータ(2026年7月14日公開)では、全世界18,210,974オリジンのうち、Core Web Vitals 3指標すべてで「良好」だったのは55.3%でした。指標ごとに見ると、LCPが67.7%、CLSが81.4%、INPが85.9%です。つまり、いちばん足を引っ張っているのはLCP=表示の待ち時間だということが分かります。
ひとつ大事な注記です。この55.3%は全世界・全オリジンの分布であり、日本の中小企業サイトの分布ではありません。「うちも半分くらいには入っているだろう」とは読まないでください。自社の数字は、自社を測らないと分かりません。
少し古いデータですが、Googleが2018年2月に公開した調査があります。2018年1月時点・4G回線・1,100万のモバイルドメインを対象にした調査で、モバイルの着地ページが完全に読み込まれるまで、平均で約15秒かかっていたというものです。
同じ資料には、「ページの読み込みが1秒から10秒になると、モバイル訪問者が直帰する確率が123%増加する」という数字も出てきます。ただしこれは実測された因果関係ではなく、Googleが機械学習の予測モデルで推計した値です(Google/SOASTA Research, 2017)。「1秒が10秒になれば」という極端な比較でもあります。だから私は、この数字を判断の柱にはしません。柱にするのは、あくまで自社を測った実データです。
もうひとつ、正直にお伝えしておきます。表示速度と直帰率の関係については、他にもいくつかの数値がよく引用されています。ただ、私が出典とされている記事にあたって確認したところ、本文にも脚注にも見当たらなかったものがありました。裏付けを確認できなかった数値は、この記事では一切使っていません。数字は、出どころをたどれるものだけを使う。それが、判断を間違えないための最低条件だと考えています。
具体的な場面で考えてみます。以下は、あくまで「こういう構図になりやすい」という想定です。
私は独立する前、製造業の現場に長く身を置いてきました。生産の現場では当たり前の話ですが、ラインの速さは「いちばん遅い工程」で決まります。他の工程をいくら磨いても、詰まっている一箇所を通さない限り、全体の流れは1ミリも速くなりません。
ホームページも同じです。ボトルネックが「1枚5MBの写真」なら、サーバーを高いプランに変えても効きません。逆にサーバー側で詰まっているなら、写真を削っても体感は変わりません。先に詰まっている場所を特定する。順番を守るだけで、無駄な出費はかなり減らせます。
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
PageSpeed Insightsで実ユーザーのデータが出ないことがあります。理由ははっきりしています。そのページに、Googleが統計として集計できるだけの訪問者がいないからです。Googleは収録の条件を「十分な訪問者数があること」と説明したうえで、その具体的な必要数は公開していないと明記しています(An exact number is not disclosed)。ページ単位で足りなければサイト全体(オリジン単位)に切り替わり、それでも足りなければ、実ユーザーのデータは一切表示されません。
つまり「データが出ない」は、故障でも設定ミスでもなく、それ自体がひとつの答えです。人が来ていない、という答えです。
この状態で速度改善にまとまった費用をかけるのは、お客さんが月に数人しか来ていない店で、レジの処理速度を上げる工事をするようなものです。レジは速くなります。売上は変わりません。
だから私は、この段階のご相談では速度改善をおすすめしません。先に見るのは「そもそも何人来ているのか」「来た人はどこで帰っているのか」です。アクセス解析で離脱の場所を見つける手順は、ホームページから問い合わせが来ないときにGA4で客が逃げる場所を見つける記事に詳しく書きました。まずはそちらが先です。
逆に、すでに広告にお金を入れている場合は話が変わります。広告費は、クリックされた瞬間に発生します。着地先が重くて開く前に閉じられれば、料金だけ払って何も起きていないことになります。広告を回しているなら、着地ページの速度は先に片付けるべき工事です。あわせて、無駄なクリックそのものを減らす考え方は検索語句と除外キーワードの使い方をまとめた記事にまとめています。
PageSpeed Insightsが「今この瞬間の健康診断」だとすれば、Google Search Consoleは「経過観察のカルテ」です。日本語画面では、「エクスペリエンス」の中の「ウェブに関する主な指標」というメニューです。LCP・INP・CLSの3つを、モバイルとPCで別々に、実際の利用者の記録(CrUX)をもとに表示してくれます。
ここでも注意点が2つあります。
ここまでを、そのまま実行できる形にまとめます。制作を依頼している方も、社内で管理している方も、同じ手順で使えます。
ステップ4が、この5つの中でいちばん効きます。速度の相談がこじれる原因の多くは、技術力の差ではなく、「重い」という感覚のまま話が始まってしまうことにあるからです。数字と合格ラインを添えて渡せば、そこから先はお互いに事実の話になります。
今日の要点は3つです。
私(マークレスト)は、外部のマーケティング責任者という立場で、東海エリアの中小企業の経営者の方と伴走しています。速度改善そのものを売ることが目的ではありません。先に、詰まっている場所を特定する。その結果「今は速度ではない」となれば、はっきりそうお伝えします。無駄なお金を使わせないことのほうが、私にとっては大事だからです。
測ってみたけれど数字の読み方が分からない、あるいは「うちは速度と集客のどちらが先か」を一緒に整理したい——そんなときは、無料相談はこちらのお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。初回面談はオンラインで90分程度。こちらから契約を急かしたり、その場で契約をお願いしたりすることはしません。
【出典】
Google 検索セントラル「Core Web Vitals と Google 検索の検索結果について」(2026年7月31日 閲覧)
https://developers.google.com/search/docs/appearance/core-web-vitals
Google 検索セントラル「ページ エクスペリエンスが Google 検索の検索結果に与える影響について」(2026年7月31日 閲覧)※「ランキングシステムで使われている」「単一のシグナルは存在しない」「上位表示を保証するものではない」「ページ体験が劣っていても最も関連性の高いコンテンツを表示する」の各記述はいずれも本ページより
https://developers.google.com/search/docs/appearance/page-experience
web.dev「Largest Contentful Paint (LCP)」(良好=2.5秒以内)
https://web.dev/articles/lcp
web.dev「Interaction to Next Paint (INP)」(良好=200ミリ秒未満)
https://web.dev/articles/inp
web.dev「Cumulative Layout Shift (CLS)」(良好=0.1未満)
https://web.dev/articles/cls
web.dev「Web Vitals」(判定は75パーセンタイル・モバイルとPCは別評価)
https://web.dev/articles/vitals
Chrome for Developers「CrUX リリースノート」2026年6月データ(2026年7月14日公開)/全世界18,210,974オリジンのうちCore Web Vitals総合「良好」55.3%(LCP 67.7%/CLS 81.4%/INP 85.9%)。これは全世界・全オリジンの分布であり、日本の中小企業サイトの分布ではありません。
https://developer.chrome.com/docs/crux/release-notes
Chrome for Developers「CrUX Methodology」(収録には十分な訪問者数が必要/その具体的な必要数は非開示)
https://developer.chrome.com/docs/crux/methodology/
Google「About PageSpeed Insights」(実ユーザーのデータは直近28日間の集計/ラボデータと実ユーザーのデータは食い違うことがある)
https://developers.google.com/speed/docs/insights/v5/about
PageSpeed Insights(測定ツール本体・無料)
https://pagespeed.web.dev/
Think with Google「Mobile page speed new industry benchmarks」(2018年2月20日公開)/「モバイルの着地ページの完全な読み込みに平均約15秒」=2018年1月・4G回線・1,100万モバイルドメインの調査/「1秒から10秒で直帰確率が123%増加」=Google/SOASTA Research, 2017 の予測モデルによる推計値であり、実測された因果効果ではありません。
https://business.google.com/ca-en/think/marketing-strategies/mobile-page-speed-new-industry-benchmarks/
※本記事は、上記の公開情報をもとにした一般的な解説です。表示速度の改善によって検索順位の上昇や問い合わせの増加を保証するものではありません。数値の基準や各ツールの仕様は、提供元の更新により変更される場合があります。ご利用の際は、必ず最新の公式情報をご確認ください。