自社の採用ページを、求職者と同じ条件(未ログイン・検索・スマホ)で開くと何が見えるか。ブラウザのプライベートな窓を使い、費用ゼロで2点だけ確かめる手順と、見えたものごとに今日どうするかを、名古屋の外部CMOが書きました。
自社の採用ページを持っている会社の社長・採用担当の方へ。採用ページがまだ無い会社にも、この記事の後半に行き先を用意しています。いま募集している会社にも、しばらく募集を止めている会社にも、見どころがあります。
結論から書きます。自社の採用ページを、いちばん正しくない条件で見ているのは、その会社の人間です。
社内の人間は、ログインしたまま・ブックマーク(お気に入り)から・パソコンの大きな画面で自社のページを見ます。求職者は、ログインしていない状態で・検索から・スマホの小さな画面で見ます。条件が違えば、見えているものも違います。そして、この差を消す道具は、すでにお使いのブラウザ(インターネットを見るためのソフト)に入っています。費用はゼロです。
お使いのブラウザで、新しい「プライベートな窓」を開きます。ブラウザによって「シークレット ウィンドウ」「InPrivate」「プライベートブラウズ」などと呼び名が違いますが、呼び名は違っても、やることは同じです。開き方は後半の「プライベートな窓の開き方」にまとめます。所要は3分ほどです。
その窓に自社の採用ページを出して、見るのは次の2点だけです。
先に、いちばん誤解されやすいことを書きます。普段と同じに見えたら、それが合格です。この点検は、問題が無ければ何も起きません。画面がいつもどおりだったのは、やり方を間違えたからではありません。「変わらなかった」という結果が、そのまま答えです。
そして、2点とも問題が無ければ、今日は何もしなくて構いません。それが正しい判断です。さらに言えば、問題が見つかっても、直さなくてよい場合があります。その基準は後半の「直さなくてよいのは、どういうときか」に書きます。この記事は、直す理由が無いなら直さない、という結論まで含めてお渡しします。
採用ページが無い会社、そして2点とも問題が無かった会社は、その窓を閉じないまま、もう1つだけしてください。検索の欄に「自社名 求人」または「自社名 職種名」と入れて、最初の1画面だけを見ます。そこに出てきたものが、求職者が最初に見るものです。何も出てこないなら、それ自体が今日いちばん大きな発見です。(ただし、出てこない理由は一つではありません。)ここは後半の「採用ページが無かった方、2点とも問題が無かった方へ」で、もう一度ていねいに書きます。
差は3つあります。
ここで、はっきり書いておきたいことがあります。採用ページに応募の入口が見当たらないとき、それは作った人の手抜きではありません。そうなりやすい構造があります。ページを作った当時は、問い合わせの入口をひとつ置いておけば足りたのかもしれません。当時の正解のまま、今も動いている——というだけのことがあります。作り手は、その時点の正解を作っています。変わったのは、探す側の動き方のほうです。(なお、電話が入口であること自体は、今でも問題ありません。どういうときにそう言えるのかは、後の「② そのページから、応募できるか」に書きます。)
そして、もう一つ。その採用ページがあるからこそ、今日この点検ができます。ページが無ければ、開く先がありません。数年前に払った制作費は、今日の点検の土台になっています。過去の投資は、次の一手のベースです。
※採用ページに何を載せるかについては、採用ページに何を書くか|求職者が探しているのに、載っていない項目で別に書いています。
手順はこれだけです。
iPhoneをお使いの場合、設定によっては、この窓を開こうとしたときにロックの解除を求められることがあります。Appleの公式ガイドに、パスキー(パスワードを使わないログインの仕組み)を設定しているとプライベートブラウズは未使用時にロックされる、という説明があります。ここで「壊れた」と思ってやめないでください。そういう仕様だと分かっていれば、止まらずに済みます。
もう1点、先に言っておきます。スマホで開いた画面と、パソコンで開いた画面は、見え方が違うことがあります。プライベートな窓で見たから崩れた、と考える前に、同じ端末の、いつもの窓でも同じページを開いて見比べてください。2つを並べれば、窓のせいなのか、画面の大きさのせいなのかを、自分で切り分けられます。比べる相手を1つ置くだけで、原因の取り違えは防げます。
採用ページの本文が、会員登録やログインの向こう側にあると、求職者は仕事の中身を読む前に止まります。逆に、中身は読めて、応募のときにだけ登録が要るのなら、それは止まっていません。社内の人はログイン済みなので、この壁は見えません。プライベートな窓は、この壁を見えるようにするための道具です。
ここで一つ、外から見た手がかりを足しておきます。Googleが公開している「求人検索用の求人情報(JobPosting)の構造化データ」という文書に、次のように書かれています(英語の原文のまま引用します)。なお構造化データとは、ページの中身を検索エンジンが読み取りやすい形で書き添えた情報のことです。
We don’t allow job postings that don’t have a way to apply. This includes:
- Job postings that advertise events such as career fair invitations.
- Job postings that require a login to view the job description. Users must be able to see the job posting details without the need to login.
引用した部分をかみくだくと、「応募する道が無い求人は扱わない。その例として、就職イベントの案内のような投稿と、ログインしないと仕事の中身が読めない求人を挙げる。仕事の中身は、ログインしなくても見られるようにしてほしい」という趣旨です。いま引用した文が名指ししているのは、この2つです。ただし、この決まりは、Googleの求人検索に求人として扱われるための決まりです。自社のページがそこに当てはまるかどうかは、ページの作りによります。①も、Googleの決まりに合っているかどうかの話ではありません。求職者が仕事の中身を読めるかどうかの話です。
もう一つ、同じ文書にはこうも書かれています。
Google does not guarantee that features that consume structured data will show up in search results.
引用の趣旨は、上で説明した構造化データの仕組みを使ったからといって、検索結果に出ることをGoogleは保証しない、ということです。ですから私も、「こう直せば応募が増えます」「検索結果に出るようになります」とは書けません。この記事がお渡しできるのは、求職者と同じ条件で自社を見る方法までです。
物差しは1行です。そのページだけを見て、応募の送り先と送り方が分かるか。この物差しを先に決めておかないと、判定はどうしても甘くなります。自社のページは、自分にとっては分かりやすいからです。
①と同じ線を、ここでも引いておきます。②は、Googleの決まりに合っているかどうかの話ではありません。求職者の目から見て、入口が分かるかどうかの話です。
会社全体のお問い合わせフォームしか無い、という会社はあります。それ自体は、悪いことではありません。どう判断するかは、次の章に書きます。
ここが、この記事でいちばん書きたかったところです。
直す理由は「形が整っていないから」ではありません。「取りこぼしているから」です。形を整えるためだけにお金を使うことを、私は勧めません。
| プライベートな窓で見えたもの | 今日の判断 |
|---|---|
| 2点とも問題なし | 何もしない。それが正しい判断です。今日の3分は「うちは土俵に上がっている」を確かめるために使いました。そのうえで、もう1つだけできることを、後半の「採用ページが無かった方、2点とも問題が無かった方へ」に書きます。 |
| 仕事の中身を読む前にログインを求められた | 直す候補。ただし、直す前に「なぜログインが要る作りなのか」をお確かめください。理由が分かってから決めれば足ります。 |
| 応募の段階でだけログインが要る(中身は読める) | 今日は直さなくてよい。求職者は、読んでから応募するかどうかを決めます。読むところまで開いているなら、①は止まっていません(②は別に確かめてください)。 |
| 応募の送り先も送り方も分からない | 直す候補。ただし、いまの窓口(電話・共通のフォーム)から実際に応募が来ているなら、今日は直さなくてよい。 |
| 採用ページが無い(または見つからない) | 今日は作らない。まず「自社名 求人」で出てくるものを見て、求職者がいま何を見ているかをお確かめください。作るかどうかは、それから決めても遅くありません。 |
この表でいちばん誤解されやすいのは、応募の送り先も送り方も分からなかったときの行です。会社全体のお問い合わせフォームしか無くても、そこから応募が現に来ているなら、それは機能している入口です。直す必要があるのは、応募したかった人が、送り方が分からずに帰っているときだけです。
では、取りこぼしているかどうかは、どうやって分かるのか。正直に書きます。今日の3分では分かりません。分かるのは「入口が在るか/無いか」までです。取りこぼしの有無は、問い合わせの記録や、ページの見られ方を続けて見ないと言えません。この記事で断定できるのは、ここまでです。
それでも、この3分には意味があります。入口が無いと分かれば、取りこぼしが起きている場所が1つ特定できたということだからです。逆に入口が在るなら、次に確かめるのは入口の先——たとえば応募が来たのに、面接の前に辞退されるような、その後の段になります。
その窓を閉じないまま、検索の欄に「自社名 求人」または「自社名 職種名」と入れてください。見るのは最初の1画面だけです。スクロール(画面を下へ動かすこと)もしません。
採用ページが無い場合も、今日この場で「作る」と決める必要はありません。まず、いま求職者が何を見ているかを確かめてからで遅くありません。
そこに出てきたものが、求職者が最初に見るものです。自社のページかもしれません。求人媒体(求人を載せるサイトや情報誌)の掲載かもしれません。何年も前に出した募集かもしれません。そして、何も出てこないこともあります。
何も出てこないなら、それ自体が今日いちばん大きな発見です。ただし、ここで結論を急がないでください。出てこない理由はいくつも考えられ、この記事では決められません。検索に入れた言葉が実際の職種名と違うだけかもしれませんし、別の理由かもしれません。
この1画面で手に入るのは、答えではありません。次に確かめることが1つ決まった、という状態です。それで十分です。自社の名前で調べた人が最初に何を見ているか——そこが分かると、打ち手を並べる順番が変わります。
私は独立する前の15年間、製造・生産管理・営業の現場で働いてきました。その間、自分が求職者として会社を選んだこともあれば、入ってきた人を現場で迎えたこともあります。そこで何度も見たのは、「うちは説明している」と会社が思っていることと、入る側に届いていることの間に、ずれがあるという光景でした。
そのずれは、たいてい悪意から生まれません。中にいる人は、中から見た景色しか持っていない。それだけのことです。だから私は、独立してからお引き受けした仕事でも、まず相手の条件で現物を見るところから始めます。画面の向こうの人と同じ入り方で、同じ道具で、同じものを見る。それをしないまま出した提案は、机の上でしか正しくありません。
今日の3分は、その最小の形です。お金は1円も動きません。動くのは、社長の立ち位置だけです。
ここまでの2点は、社長ご自身が、今日、費用をかけずに確かめられることです。私の手が要るのは、その先——見つかったものに順番を付け、どこから直すか、あるいは直さないかを決める、その部分です。ここは有償のご支援になります。無料でお受けしているのは、次にご案内する初回面談(90分程度)までです。
なお、私は採用そのものを代わりに行う立場ではありません。
自社の採用ページのことで気になっている点がある方は、無料相談はこちらのお問い合わせフォームからお知らせください。初回面談(90分程度)で伺うのは、現状とお困りごとです。そのうえで、新たな投資が不要と判断すれば、その旨を誠実にお伝えします。実際に手を動かす部分をご依頼いただく場合は、有償のご支援としてお引き受けします(たとえば、採用ページで気になった点に順番を付け、どこから直すか、あるいは直さないかを決める部分。求人票・募集要項や募集の投稿文など、募集に載せる文章そのものの作成と、募集を代わりに出すことは含みません)。